リアルパラワールド木島平ミーティング2009

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アクロの基礎知識

リアルパラワールド・木島平ミーティングでは、毎年豪華ゲスト達が華麗なアクロのデモフライトを披露してくれますが、アクロの技の名前を知らない方もいらっしゃるかもしれません。そんな方のために、アクロの基本技をご紹介します!
どんな技か分かると、見るときにもっと面白くなりますよ!!
※2005年2月号~10月号連載「加藤豪のアクロテクニック丸わかり」より

ダイナミックSATダイナミックSAT

アクロの中でも最も有名な技。
まず、「SAT」の説明から。「SAT」とは、スペインのラウル・ロドリゲスとフェリックス・ロドリゲスが中心となり、アクロバティックが好きな人達が集まって結成された、アクロ界で有名なチームの名前。“Safety Acro Team”、略してSATです。そしてこのSATチームのラウル・ロドリゲスが編み出した技に、チーム名をそのまま名付けしたのです。
「SAT」は今のアクロの大技の基本となっており、これを変化させることでダイナミックSATやリズミックSATになります。

ダイナミックSATとは、スピードをつけた状態でのSATのこと。普通に飛んでいる上体のパイロットの位置を0度とすると、ダイナミックSATは最大で135度まで振り上がった状態になります。
一般的なスピードの付け方としては、図の①のようにアシメトリックスパイラル(非対称なスパイラル)でスピードを付け、そのスピードを殺さずに②のピッチングに繋げてより加速。そして、③でパイロットがピッチアップしたところでSATに入ります。
④でダイナミックSAT、実際見ているとアシメトリックスパイラルでも動きが速く見えますが、ダイナミックSATに入ってからもう一段階スピードアップします。
⑤で止めるときもありますが、スピードが乗っていると続けて2~3回転します。

特徴としては、通常パラグライダーは旋回時、内翼が下がり、パイロットは旋回している側に傾きます。これに対し、SAT中は内翼ではなく外翼が下がり、パイロットは旋回している側とは反対側に傾きます。そして翼は前に進んでいますが、パイロットは後ろ向きに進みつつ、キャノピーの真横で回ります。

テイルスライド

別名「バックワードフライト」。翼の形を保ったまま、後ろ向きに進む業です。
後ろ方向に進んでいるため、後ろから風を受けるので、前縁から後縁の幅が縮まり縦横比(アスペクト比)は増し、翼が細長くなり、両翼端が少し前向きに折れ曲がります。上手なテイルスライドは通常の滑空した状態からフルストールに入れず、後ろ向きに進行方向を変えます。

テイルスライドダイナミックフルストール

パイロットが大きく振り上がったところでフルストールに入れること。技の特性上、技から技に移るときの「つなぎ」としてよく使われます。
①はSATが終わって多少の傾きをブレークコードで調整し、キャノピーが前にある状態。キャノピーが前まで行き、次にブランコの要領でパイロットが下に落ちていった状態が②です。当然パイロットにはスピードが付いているので振り上がり、キャノピーは後ろにいきます。これが③の状態。パイロットが振り上がった頂点でフルストールに入れたこの④の状態が、ダイナミックフルストールです。
ダイナミックフルストールの定義は、通常の滑空状態での水平面とパイロットの関係を0度として、パイロットが前に振り上がって最小で45度から最大で90度の範囲になります。

ヘリコプターヘリコプター

マイク・クングが編み出した、ヘリコプター(実機)のプロペラのようにキャノピーをクルクルとフラットスピン(方翼失速)させる技。
①はテイルスライドから少しブレークコードを戻した位置。このときは右にも左にもフラットスピンになりそうな不安定な状態で、②はその不安定な状態で右フラットスピンしそうなタイミングに合わせて右のブレークコードを引いて、右にフラットスピンさせています。
その後③~⑤の段階では螺旋(らせん)を描きながら右に回っています。スモークを焚いての演技を見るとあまり沈んでいないのがよく分かります。
ヘリコプターから通常滑空に戻すときは、⑥のようにフラットスピンを止め、ピッチ方向の動きに変えてシューティグをしっかりブレークコードで止めます。これはテイルスライドをコントロールできるパイロットであれば容易に止めることができます。

このように、完成されたヘリコプターはキャノピーの潰れがなく一定のリズムで回り、何回転しても軸がブレず、旋回の中心がキャノピーのセンター辺りにあります。

皆さんがランディングかテイクオフにいて見上げたときに、沈下率よりも旋回が速く、空中のある一転で何回も回転して降りてこないと錯覚するようなら、それは完璧なヘリコプターでしょう。

マックツイストマックツイスト

スピードをつけて、ピッチアップするときに片方のブレークコードを引き、フラットスピンさせる技。このときキャノピーはパイロットの横で一周半回転し、パイロットが重力でキャノピーの下にきたときに回転を止めます。
まず、①のようにスピードをつけた状態でピッチングさせ、失速させたい方向に少しバンクをつけます。体重移動は戻して、どっちにも体重をかけていない上体で下がりながらタイミングを待ちます。パイロットが下がりきってピッチアップしだしたところが②です。このタイミングで片方のブレークコードを引きますが、かなりブレークコードが重くなっています。また、スピードがついていて片翼失速させるタイミングを合わせてブレークコードを引くのが難しいため、勢いをつけて体重移動と同時にブレークコードを引くようになります。
一度失速させたら、③~⑤のようにツイストを防ぐため、回っている方に体重をかけ続けます。するとキャノピーが回転しながら振り上がっていたパイロットが下がってきます。この間も遠心力でパラグライダーのラインテンションはずっとかかり、横向きでヘリコプターをしているような状態になります。
最後は⑥のようにパイロットが通常の位置で止まりますが、このとき止めたいあまりブレークコードをあまり引きすぎるとフルストールになってしまいます。ストールしてキャノピーを潰さずにピタッと止まると、アクロをしている方も見ている方も気持ちいいですね。
この技の大変なところは、スピードが付いている状態でタイミングを合わせてメチャクチャ重たくなっているブレークコードを引いて瞬間的に失速させるところ、そして、ヘリコプターよりもさらに危険を伴うことです。ヘリコプターは通常の滑空している状態と同じでパイロットの上にキャノピーを維持しつつ、ツイストしないようにキャノピーを連続でフラットスピンさせる技で、パイロットがキャノピーの下にいてスピードがついていないので、たとえ技が失敗してもキャノピーを斜めにシューティングさえさせなければ大きなバランスの崩れにはなりません。しかし、マックツイストではパイロットが振り上がっているときにキャノピーがものすごい速さで回転するので、ツイストや回転が足りないとクラバットする危険性があるのです。

ミスティリップミスティーリップ

マックツイストの変型版。マックツイストと同じようにパイロットの横でキャノピーがヘリコプターのように回転しますが、技の入れ方と終わり方が少し違います。
まず技の入れ方はマックツイストとは違いあまりスピードをつけず軽くピッチアップさせます。このときスピードが遅いため、軽く片翼失速させることができます。これが①。
次に②③のようにキャノピーが一回転しますが、これもゆっくり回るので、ちょうど一周した頃にキャノピーがパイロットの前に来ます。
そして、フィニッシュは④で前に行ききったときにブレークコードをリリースして通常滑空に戻します。またタイミングによっては前に来ていない場合もありますが、前に行ききるまではしっかりブレークを引いてシューティングを止め、それからブレークコードをリリースするようにします。
ミスティーリップの特徴としては、マックツイストのように猛スピードでパイロットの横でキャノピーがスピンするのではなく、対照的にゆっくりとしたスピンになります。またこの技は比較的高度ロスが少ないので、慣れてくるとローリングのように左右に何度も切り返して演技することができます。

タンブリングタンブリング

キャノピーがパイロットの前方に行き、パイロットがキャノピーを飛び越す逆宙返り。SAT、ダイナミックSATをよりお大きくした、SAT系の技の中で最大の技の一つ。通常滑空でのパイロットの位置を0度として、ダイナミックSATはパイロットの位置が最大で135度までですが、タンブリングはミニマムで135度、マキシマム180度です。

①は右のアシメトリックスパイラルでスピードをつけた後、体重移動とブレークの操作でピッチングの動きに変えます。②は①でつけたスピードを維持し、パイロットが振り上がるときに(この場合だと右にアシメトリックスパイラルをしていたので切り返すために)左に体重移動とブレークコードを引いてSATに入れるタイミングを待っています。
③は左のブレークコードを引き、左のSATに入れていきますが、この時点では見ている人は左にルーピングかなと感じます。
④で、ルーピングでのエネルギーでパイロットは勢いよく振り上がり、外翼(この場合、右翼)が下に入り込みSATになります。これを維持することできれいなタンブリング(逆宙返り)になります。大会ではこの時点でタンブリングの技術的評価である、ミニマム135度、マキシマム180度のどこにパイロットの位置があてはまるかで評価されます。
⑤、⑥ではタンブリングになるようにSATを維持するために体重をしっかりかけ、ブレークコードを引いておきます。

リズミックSAT

タンブリングを5回、6回と何回も繰り返す技のこと。
SAT中に引いている内翼のブレークコードを全部ではなく、少し戻したり、また引いたりすることによりパイロットの位置が135度から180度の間になり、何回転もタンブリングします。

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