
TRIPLE SEVEN
QUEEN
ハードな条件でこそ真価を発揮!
世界のトップコンペシーンでその名を轟かせ、その輝かしい経歴を引っ提げて、それぞれメーカーのテストパイロットとして活躍してきたスロベニアのヴァリッチ兄弟。彼らが2011年に立ち上げたのが777(トリプルセブン)だ。日本に上陸してまだ間もないこの新しいブランド。今回は、ハイエンドCクラスのクイーンを紹介しよう。
テイクオフ
広げてみるとアスペクト比6.2と控えめで、機体はコンパクトに見える。ライザーは12mmテープ、ボトムラインは片側7本+ブレークコード。 1A+A'、2B+スタビ、2Cの構成で、被覆のないコンペラインで本数が少なく、ラインチェックは非常に容易。Cライザーにはライザーコントロール用のトグルが付いている。
BPI(バックポジションインテイク)で後退したインテークを補強するのは2本のプラスチックロッド。しっかりとインテークを立ち上げてくれる。機体は一人で広げることができる長さで非常に助かる。
ライズアップのために持つライザーは中央の1本だけでもいいし、翼端も持つなら中央部を少し下げ、段違いで持つのがよさそうだ。微風で立ち上げてみると、とても素直な立ち上がり。非常にすばやく、エアインテークが潰れることもなく立ち上がり、軽く止めることによってしっかりと頭上で安定する。
飛行特性
浮き出しは良く、テイクオフしてすぐにリッジソアリング。山際で小さくターンをしながら高度を上げる。ハンドリングは非常に軽快でしっかり山際まで攻めることができる。
アクセルを踏んで沖へ出すと、程よい重さがありながらもスムースに加速していく。プラス6キロほど加速しただろうか。そのときの翼の強度はかなり安心感があり、少し煽られた程度で潰れる気はしない。
サーマルに突っ込むと突入後の自律安定は良く、旋回への手助けをしてくれる。感覚はCライザーのハンドルからダイレクトにフィードバックされ、潰れの予兆は直感的に感じることができる。そしてハンドリングは抜群である。
翼端折りは、初めやや抵抗があるが、折れてしまうと素直に維持ができる。ボトムラインが2本しかないので折れる面積は大きい。回復はリリースしてブレークを少しだけ引くとぱらぱらと戻っていく。スパイラルはブレークを引いた分だけ沈下する素直なもの。より沈下が必要であればしっかり引き込むとバーチカル状態を維持してくれ、マイナス14m/sほどで落ちていく。
ストールポイントは決して速くはなく、十分なブレーク操作量が確保されている。トップパイロットを目指す中上級パイロットのためのグライダーとして、サーマルセンタリング、トランジット、滑空性能他、十分に性能を発揮できるグライダーだと言える。
ハイエンドCを求めるパイロットに
クイーンの開発において、洗練されたキャノピーの内部構造とライン長削減による空力特性の最適化が重要課題とされた。デザイナーのアルジャス・ヴァリッチは、「パフォーマンスもさることながら、最も重要なのはハードな条件での安定性と使いやすさ」と言うが、このクラスでは最高のパフォーマンスをもったグライダーになっている。中上級パイロットの要求に応えるハイエンドCクラス・クロスカントリーグライダーである。
(REPORT: Hideaki MONJI)
SPEC INFORMATION
サイズ | S | M | L |
セル数 | 62 | 62 | 62 |
翼面積(投影)㎡ | 19.7 | 21.4 | 22.9 |
翼面積(実測)㎡ | 23.5 | 25.5 | 27.3 |
スパン(投影)m | 9.6 | 10 | 10.4 |
スパン(実測)m | 12 | 12.6 | 13 |
アスペクト比(投影) | 4.64 | 4.64 | 4.64 |
アスペクト比(実測) | 6.2 | 6.2 | 6.2 |
飛行重量 kg | 70-90 | 80-104 | 100-120 |
機体重量 kg | 5.0 | 5.3 | 5.7 |
安全規格(LTF/EN) | D | C | C |
価格(税別) | ¥540,000 | ¥540,000 | ¥540,000 |
[製造元]TRIPLE SEVEN/スロベニア
[輸入・販売元]エア・カッシー
[URL]http://www.airkassy.com/