SWING

MISTRAL3

フライトの心地よさと安全性を実現した
ワンランク上のスポーツグライダー

スイングは長い歴史を持ち、世界で実に多くのフライヤーに支持されているパラ界のトップブランド。ミストラル2と3を比較してみると、ミストラル2がビギナーグライダーとスポーツグライダーとの間のステップのための位置付けであったのに対し、ミストラル3はそのひとつ上のクラスを狙っているようだ。

デザイン＆マテリアル

キャノピーを広げてまず目を引くのは、スイングの今までとは違うグラフィックデザインだ。メインカラーにブラックとホワイトのスパン方向へのストライプが大胆に取り入れられている。キャノピーのマテリアルは、スイング独自の特殊なシリコン＆ポリエチレンコーティングが施された、耐久性に優れ、汚れのつきにくい、軽量なナイロンクロスを使用している。
ラインはドイツLiros社の耐久性について定評あるラインを採用している。ラインのラピッドリングへの接続部ではOリングを使用しラインのラピッドロング内でのズレを防いでいる。
ライザーは上級機シーラス3と同じ55cmの長さで、20mmのナイロンテープで翼端潰し用のライザーを持つ5本で構成されている。そのため、アクセルシステムについてはシーラス3と同様に踏み始めの軽さが期待されている。
ブレークコードのトグルは新採用の“エルゴグリップ”。これは握る部分がゴムのような素材でカバーされ、自在にグリップ部分が曲がるようになっているものだ。手首にトグルを通して飛ぶパイロットにも使いやすいだろう。
このように翼のデザイン、マテリアルの選択はユーザーの期待を裏切らない仕上がりとなっている。すべてが「パラグライダーはこのように作りこまなくてはいけない」とでも言っているかのような、お手本のような仕上がりの良さだ。

フライト＆ハンドリング

テイクオフ後、すぐに感じるのはスピード感。トリムスピードは37km／hとなっており、前モデルミストラル2よりも若干上げられている。アクセルについては、やはり踏み出しの軽さは期待通りのもので、“快適”に操作できる。アクセルによるスピードアップも効果が高い。
ハンドリングは少ないブレークコード操作量でも十分にターンが行なえる。重さは軽め平均とでもいうレベルだと思うが、長時間のフライトの際は、少ない操作量でコントロールできることから、女性には強い味方になることだろう。また、この少ない操作量はダイレクトな操作感に繋がり、このフィーリングから経験を十分に持つパイロットさえも満足させることができるだろう。
このハンドリングのおかげか、サーマルを感じやすく、センタリング中のバンク角をキープするためのコントロールもしやすい。上昇していくスピードには満足以上のものがあった。またリッジソアリング時も同様に、思った範囲でターンを仕上げやすい効きの良さを持っており、素直に飛ばしやすいと感じた。
翼端潰し、Bストール、フルストールからの回復も良好で、スパイラルへの導入・回復ともに操作しやすいものとなっている。少し激しい風の中では、多少ガサガサという音が聞こえるが、これは衝撃を吸収しているということだ。柔軟な翼が、パッシブセーフティーを高めている。
ランディングにおいてもブレークコードの効きの良さを感じることができた。多少、ルーズなタイミングでフレアー動作を行なっても、しっかりと効いてくれるのだ。

地中海に吹く風

“ミストラル”という名前は“地中海に吹く風”という意味である。心地よさを連想させる名前だと思う。ミストラル3はクロスカントリーフライトを目標とするパイロット、これから経験を積んでいこうというパイロットで、常に心地良さを大事にしたいというパイロットにぴったりとフィットしているグライダーだ。
もちろん、今までのミストラル2ユーザーの乗り換えの翼としても期待を裏切ることがない。

（REOPRT：Satoshi MEGURO）