SWING

EVEREST

軽量化がもたらす抜群の使いやすさ！
フライトをより身近にするグライダー

パラグライダーマーケットの新しい流れ“ライトウエイト”。各メーカーが持てる技術を駆使してグライダーの軽量化を図る中、スイングはこの答えを『エベレスト』という形にしてみせてくれた。

アクシス3からの進化〜軽量化

エベレストは、先に発表されているDHV1クラスの“アクシス3”をベースに開発された軽量グライダー。比率にして、その重量を30％も軽くすることを目標とした。スイングがそのために行なったこととは…
●キャノピー素材の変更
フランス・ソフィレータ社との共同開発による新しいナイロン素材を採用。その重量は35g／m² という重量でありながら経年変化を抑えるためのシリコンコーティングとポロウレタンコーティングが施されたものだ。ちなみにスイングでは同社の44g／m² で同様のコーティングを施されたものをメインで使用している。この素材は湿気と紫外線に非常に強く、しかもリップストップの格子をダブルにし、引っ張り強度をアップさせている。
●ライン素材の変更
ラインはドイツ・リロス社の0.8?ダイニーマ・ラインをトップラインに、ミドルラインとメインラインには1.2?、1.8?のテクノーラ・ラインを採用している。この細いトップラインは軽量化に大きく貢献していそうだ。
●軽量なライザー材料
ライザーは10?幅のケブラー繊維が編みこまれ強化されたナイロンテープを採用している。通常は20?幅のため重量は50％程、軽量にできているのだろう。ライザーテープのほかにも、ラインとの接続のラピッドリングも小さいサイズに変更、ブレークコードグリップもエベレスト専用の軽量なものに変更されている。
これらの軽量素材の組合わせにより、22サイズで4.0kgまで重量を減らすことに成功している。

フライトフィーリング

それでは、実際にフライトしてみよう。まずキャノピーをテイクオフで広げてみた。素材がしなやかでやわらかい。耐久性について心配してしまうほどだが、スイングでは2年間保証を行なっているので問題はなさそうだ。
10mm幅のライザーに初めてのパイロットには多少抵抗があると思うが、ライズアップについては実にスムース。エアインテークでの風のキャッチは、広げ方さえしっかりしていれば確実なものだ。立ち上がってからの翼の先走りも少ない。
テイクオフ後のスピードの乗りは早い。トリムスピードはゆったりとしていて、多少遅めに設定されているようだ。ビギナーグライダーとしては標準的なものだろう。その反面、アクセル操作は軽い。10km／h程のスピードアップができた。
ブレークコードのストロークに非常に余裕がある。遊びは少なく12cm程で、通常のターンでの手の動きは狭い範囲で済んでしまう。この点ではクイックだと言える。ストールへは実に入り難い。そのためか、スパイラルへのハードなターンへの導入は1〜2回の360度旋回が必要だ。ローリングについても2回程の左右への穏やかなロールからローリングへ導入していくことが必要で、ブレークコードは思い切って引き込んでしまっても問題は起りにくい。
翼端折りからの回復は非常に早く、翼端折りを継続してのフライトには多少腕の力を使うので、折った後、そのライザーをメインのライザーといっしょに握ってしまったほうが楽に行えるであろう。アクセルを使用しての翼端折りからの回復も、アクセルを使用しない場合と同じように早く回復してくれる。Bストールもまったく問題なく行なうことができ、スピードの回復も早い。
このようにすべてのマヌーバーにおいて、エベレストは高いレベルでの安全性をみせている。
低速の効きは良く、進入角の微妙なコントロールに余裕がある。そのため、ランディング時のコントロール性能は非常に高いものをもっているのだ。

（REPORT：Satoshi MEGURO）