SUPAIR

STEP LIGHT

スープエア初のハイエンドB軽量モデル

フランスの老舗企業スープエアが新型コロナに負けずニューモデルをリリースした。カラーリングもお洒落で個性的なステップライトをチェック！

軽いステップをさらに軽く！

　ベースとなったステップ（ハイエンドB）は、4.8kg（Ｍサイズ）と十分に軽いモデルだ。それ以上の軽さは必要ないと思っていたのだが、さらに軽い3.9kg（Mサイズ）のステップライトがリリースされた。
　私自身ステップはとても好きなグライダーだったので、今回の試乗はとても興味があった。ステップはスポーティで安全、非常に完成度が高く気に入っている。それがステップライトでどう進化しているのか？ 早速、検証していこう。

構造＆素材

　展開アスペクトは、5.7でBクラスとしてはやや高め。セル数は61で、インテークの形状はシャークノーズを採用している。トレーリングエッジには、スープエアの特徴的なＵ字型の3Dシェイピングが入っていて見上げた時に美しく見える。
　また、Ｃラインにはスパン方向に太めのテンションテープが、また、その後ろにも細いテンションテープが入っている。軽いキャノピーを補強するために、しっかりとした対策が施されている。
　キャノピー素材は上面前縁部分にポルシェ製スカイテックス32g/㎡、それ以外の上面は27g/㎡、下面には27g/㎡を使用している。ステップが38と32g/㎡を使っているので、15％ほど軽くなる計算だ。
　ライザーは非常に細く、Aライザーが分岐した3本ライザー。リアライザーには、リアライザーコントロール用の小さなバーがついている。ブレークグリップは、ダイニーマの細いテープと幅広い柔らかな生地を合わせた凝った作りだ。ライザーの作りは細部まで丁寧で、オーナーはライザーを手にするたびに喜びを感じることができるだろう。

飛行特性

　ライズアップは非常に軽く優しい。微風でも全体がするするとゆっくり上がってくる。特に加速する感じも、途中で止まることもない。ステップのライズアップはもともと軽かったが、ライトではさらに軽く優しくなっている。無風でも全く問題なくテイクオフできる。Sサイズ（飛行重量70-90kg）に76kgの軽めで飛行した。乗り始めてすぐの印象は、軽めで乗っているにも関わらず軽快であることだ。
　ブレークの引き込みに対して、すぐに旋回が始まるので思い描いたとおりのターンができる。バンクの掛かり方も自然で、一定の旋回を維持しやすい。おそらくブレークコードを引いた時に、トレーリングエッジが絞り込まれるシステムが功を奏しているのだろう。
　飛び始めて気になったのは、ブレークのグリップ形状だ。凝った作りなのだが、どうもしっくりこない。そこで持ち方を変え、手首に通していたのを止めて、手のひらに巻くように持つととてもフィットした。試乗する機会がある方は、まずグリップの持ち方を頭に入れたうえでフライトしてほしい。
　軽量グライダーにありがちなキャノピーがフニャフニャする感じはなく、翼の剛性は非常に高い。トリムスピードは標準的。ソアリングするのにちょうど良い速度だ。アクセルは軽く、スピードのノリもよい。アクセル使用時はリアライザーコントロール用のバーを使って、効果的なピッチコントロールや微妙な方向修正を行うことができた。
　キャノピーの挙動を確かめるためにマヌーバを行ってみた。フロント潰しはとても回復が速く、センターがすぐに開いて翼端にかけてゆっくり回復した。大きく振られることはなく安心できる動きだ。

ステップライトの印象

　乗ってすぐにステップライトのフィーリングが気に入った。ステップライトはハイエンドBクラスで、アスペクトもそれなりに高い。グライダーを選ぶ際、そのグライダーの持っている性能を十分引き出せる技量があるかどうかはとても重要なポイントだ。スペックはさほど障害にならないだろう。
　ハンドリングが良く、翼の一体感がある。安全性も高く、信頼感が何よりもあるのでのびのびと楽しくフライトできた。
　それほど軽量に拘らないのであれば、キャノピー重量が1kg重いノーマルモデルのステップもよい選択だと思う。飛行重量は、軽めで乗ったが特に問題なかったのであえて重く乗る必要はないかもしれない。スープエアの勢いを感じるお勧めの一機だ。

（REPORT：GAICHI）