ギア・インプレッション

POISON3

SKYWALK

POISON3

乗る者の空域を広げてくれる
卓越した滑空性と操作性、そして安定感!

スカイウォークは、乗りやすさと扱いやすさをマイペースで形にし続けるシリアルモデルメーカーだ。常にマーケットと向き合い、パイロットの気持ちを理解し、次世代の空を見続けている。それは、競技用モデルに目を向けることなく、シリアルモデルとパラグライダーマテリアルの総合開発に懸命な姿勢からも理解することができる。

新軽量素材シルバーファブリックスAL32

3年前にリリースされたポイズン2。リーディングエッジにまとった新素材AL29は、まったくもって斬新すぎる新素材であった。今回のポイズン3ではAL29をAL32とし、1?あたり3gの重量を増すことで、紫外線に対する劣化度合だけではなく、擦れや引裂などに対する強度も上げた。0.2kg程重さは増しているが、LTF/EN-Dクラスにして最も軽いグライダーである。
リーディングエッジのマイラーセルを廃止し、代わりにリッジフォイルシステムを配することで、補強とアクセルシステム使用時の滑空性能低下を防止するとともに、軽量化をも両立している。アスペクトレシオは6.82。前作にも増して精悍で力強さを感じさせ、滑空性能をも大きく向上。ラインプランは、前作ポイズン2に引き続き3列のハイブリッド構造だ。
しかし、これら新構造と時代性に逆行するかのように、ライザーシステムは、なんと片側だけで7つのラピッドを持つ多重構造。踏み込みは決して軽くはない。しかし、60km/hまでの加速を大きな安心感と安定性とともに実現している。

“その先”へ到達できる翼

立ち上げは、ポイズン2譲りの優しい軽さ。飛び出した後の速度感は十分。期待通りの滑空性能を確信させるには時間は全く必要なかった。そしてアクセルシステムを使用し、驚くことになる。重さを足の裏に感じると、それは確実に体に感じる風として跳ね返ってくる。ダブルプーリーがアクセルシステムの主流の時代にあって、シングル構造は確かに重いが、繊細なアクセルワークには有効で、アクセル操作が楽しくなる程だった。
旋回性はまったくのストレスレス。前作ではビッグアーチによる効果か、直進安定性が強く旋回継続中のバンク維持に一癖あったかもしれない。しかし、ポイズン3ではそれらのマイナスイメージは払拭され、またハイアスペクトによる外翼の動きに重さを感じることもない。新採用のフォルムデザインとジェットフラップシステムのマッチングによるものか、これまで以上に自立安定性に優れている。そんな安心感も相まって、下限重量で飛ばしていることを忘れてしまう程の乗り味は、視野が広がるとともに目線は高くなり、ついついその先まで足を延ばしたくなる。
ポイズン2で左右8つだったジェットフラップは、ポイズン3で左右6つに。フォルムデザインの完成度とのマッチングに、今作ではそれを減らすことで旋回性を高めることに繋げているのだろう。
常に安定した翼とともに安定した心で空を観察し、その先への夢を膨らませることができるパフォーマンスこそ、ポイズン3の真骨頂だ。3年飛ばしても変わらない翼の性能。3年後も変わることのないパイロットの安心感と楽しさ。しかし、3年後には確実に到達点を変えてくれるポイズン3は、初めてLTF/EN-Dにチャレンジするパイロットから気持ちよさを求める上級パイロットまで幅広くお勧めできる翼だ。

(REPORT: Tez SATO)

SPEC INFORMATION

サイズ XS S M L XL
セル数 69 69 69 69 69
翼面積(実測)㎡ 22.95 24.88 26.80 28.24 29.4
翼面積(投影)㎡
翼幅(実測)m 12.52 13.03 13.52 13.88 14.17
翼幅(投影)m
アスペクト比(実測) 6.82 6.82 6.82 6.82 6.82
アスペクト比(投影)
機体重量 kg 5.1 5.5 6.0 6.3 6.6
飛行重量 kg 70-90 80-100 90-110 100-120 110-130
速度(min/trim/max)km/h 22/41/58 22/41/58 22/41/58 22/41/58 22/41/58
滑空比 10.6 10.6 10.6 10.6 10.6
安全規格(LTF/EN) D D D D D
価格(税込) ¥546,000 ¥546,000 ¥546,000 ¥546,000 ¥546,000

[製造元]SKYWALK/ドイツ
[輸入・販売元](株)ゲインインターナショナル
[URL]http://www.gain-int.com/

2011年4月号掲載)