SKYWALK

CAYENNE3

卓越したフォルムで乗り易さ＋高性能を実現したXCスポーツモデル

SKYWALKが設立されて7年。HYPE!に始まったこだわりのグライダー作りは、紆余曲折を経て今年CAYENNE3へと辿り着いた。フォルム、素材、そしてハンドリングとレスポンスは、これからのSKYWALKを示すかのように斬新さと伝統を織り交ぜた素晴らしい完成度を表現している。CAYENNE3は、SKYWALKを味見するには最適の翼だ。

クラス2における最高性能を搭載

初代カイエンは最後まで空中に存在するための安定感と扱い易さを。2代目カイエンは、軽快にサーマルを捕らえ、的確にコースをトレースする高い操作性を纏いリリースされた。
スカイウォークのフラッグシップモデル、ポイズン2のビッグアーチと3列ラインによるラインプランが、そのままカイエン3に採用されている。軽量かつ耐久性に優れた新採用のキャノピー素材「PORSCHE MARINE NEW SKYTEX」がキャノピー下面に使用され、立ち上げの軽さに大きく貢献。アーチフォルムは61セルとなり、ポイズン2と見間違える程に大きく5.6から6.0へと上げられたアスペクトは明らかな安定感でパイロットに安心感を与えている。
空気抵抗と耐久性を考慮しアッパーラインには被覆なしのケブラーラインが配されている。ラインシステムは3列で構成され、12mm幅のライザーへと纏められることでスピードの向上に大きく貢献しているのは間違いない。さらに、定常滑空で時速39kmながら下限速度を22kmとするクラス2は他に類を見ることはなく、相変わらず実用範囲の広さを誇っている。加えてフルアクセラレーターでは56kmを計測しながらも翼の安定感は、大きく変わることがない。

成熟の域に達した安定性と乗りやすさ

素材の軽さも相まって、立ち上げは前作よりも軽い。翼端の立ち上がりに遅れがあるものの、頭上に聳えるキャノピーは高アスペクトながら、ストロークの幅の広さに驚くこととなるだろう。
前作に比べて、総ライン長はトータル70mもの長さを短縮させており、抵抗となるライン総面積が41％も低減されている。見違える程にスリム化されたライン抵抗は、明らかに、そして驚く程の滑空性能の向上をもたらした。
サーマルソアリングにおいては、強いピッチ安定性によりロスの少ない上昇を実現。忙しく安定操作に追われることなく、サーマルの形状と大きさだけに集中することができる。これは、さらに進化したジェットフラップシステムによるものだ。ビッグアーチフォルムにも有効で、ピッチ安定においては無駄に不安を与える要素を感じることはない。
空中操作において、カイエン2ほどの極端な運動性はないが、軽快感と広い実用範囲に対し、優れたレスポンスを感じることができる。穏やかなロールインから軽さを感じさせるブレークフィーリングと旋回性は、高い直進安定性に反してしっかりと翼の傾きをキープする。しかし荷重移動や確実なブレーク操作が不十分なパイロットには、旋回や旋回の連続を維持することは難しいかもしれない。常に不安定なロール感を楽しむように旋回し、旋回方向へとブレーク指示したら逆の手はテンションを感じているだけで十分だ。
決して強さや速さだけを求めるわけではなく、乗りやすさと安定性を受け継ぎ成熟させたカイエン3。新世代C3においては、スカイウォークのスポーツモデルとして、恥ずかしくない滑空性能へとバージョンアップさせている。LTF2の楽しさを体感したいスポーツパイロットに、そして安全にクロスカントリーフライトをしたい週末パイロットにお薦めしたい。

（REPORT: Tez SATO）