
PHI
SYMPHONIA
Resuming a Revolution
新生PHI(ファイ)の初号機シンフォニアは、ハイパフォーマンス譲りの製造技術を注入して生まれたハイエンドA機だ。 仕掛け人は、数々のブレークスルーを成し遂げてきたハーネス・パペッシュ。 天才デザイナーがパラグライダー界に示した近未来の翼をチェックしよう!
スーパーAクラス?
新ブランドしてスタートしたPHI(ファイ)の第一弾として、センセーショナルなデビューを飾ったシンフォニア。最初にリリースした最上位モデルのシンフォニアは、性能はスタンダートBクラス以上で、安全性がAクラスなんて夢のような翼が本当なのか。正直なところ試乗するまでは疑心暗鬼だったが、乗った瞬間に想像を超える楽しさが伝わってきた。安全性と性能はまさに衝撃だ!
ギミック満載のキャノピーに興味津々
翼を広げてみると、キャノピーのデザインは斜めのストライプ。なかなか手の込んだ作りだ。カットと縫製の技術の高さが感じられる。ライン構成はメインラインが片側2本ずつしかない。ラインが少ないということは、有害抵抗が少なくなり性能は向上する。それとラインチェックのミスが減るという副産物もある。
リーディングエッジは立体裁断され綺麗なシェイプをしている。ギザギザに波を打つような翼上面トレーリングエッジ部分の縫製は、立体的にバイアス方向への変形を抑え動的に動いたときに効果を発揮するのだろう。トレーリングエッジのミニリブは、途中でミニリブの形状が楕円になっている。ミニリブにより滑らかなトレーリングエッジを形成し、ブレーキングをすると楕円に遮られた区画の圧が上がり引き込んだときのシェイプも滑らかなままだった。
飛ぶ前にたくさんの気づきがあってなかなかインプレッションが始まらないので、とりあえず飛んでみよう。
扱いはAクラス、パフォーマンスはBクラス
ライズアップは軽量クラスのようにフワっと立ち上がった。ブレーキングのストロークは少し長く、大きく使うといい感じだ。とはいえ、頭上安定性も優れているので、ゆっくりと必要な分量の操作で留まってくれるのが気持ち良い。
離陸は短い助走距離で十分だ。この日は、弱い北西風でリッジソアリングができるか微妙なコンディションだったが、面白いぐらい安定してソアリングができた。浮きがあるのはもとより、キャノピーの自立安定が優れている。乱れた気流や操縦ミスをしたときのリカバリーも早い。従って高度損失は少なくなり、その空域に長く留まっていられるのは大きなアドバンテージだ。
弱いサーマルでセンタリングしてみる。ブレークコードを引き込むと、少し長めのストロークだが確実に翼が空気をとらえ、ググっと引き込むとシャープに曲がる。最初は鈍い感じに思えたが、長めのストロークの感じが分かってくるとハンドリングのフィーリングは良い意味で一転した。アクセルはハーフぐらいから加速感が変わり始め、アクセルバーは片足で踏み込める重さだ。翼は安定感がありサーマル間の乗り継ぎも容易にできた。
パフォーマンスはAクラスに乗っていることを忘れるほど
ピッチングはググっと引いてポンとリリースしてみても、Aクラスなので過度に加速することなくゆっくりコントロールできる範囲で翼が前に走った。ビッグイヤーはライザーをつかんでグキっと潰す。Aラインが2本しかないので大きく潰れるイメージだが、びっくりするような量ではなく適度な沈下で安定感は十分だった。翼の半分を思い切って潰してみると、90度ターンする間にキャノピーは自然に回復した。そうだ、今乗っているのはAクラスだった。シンフォニアはそれさえも忘れさせるほどの性能がある。
ランディングは言うまでもなくイージーだった。無風から微風の追い風での着陸になったがフレアーはしっかりかかり、大きくブレーキングするとその分だけブレーキ量が増しソフトランディングができた。
既成概念を変えよう!
EN-Aとして高いリカバリー能力を兼ね備えながら、性能はスタンダートBクラス、いやそれ以上ある。機会があればクロスカントリーフライトで乗って見たい。シンフォニアの高感度はさらにアップするに違いない。
シンフォニアの登場で、世界中のパイロットが抱いているAクラスのイメージは激変するだろう。EN-A=ビギナーモデルという概念はもう昔のことになるだろう。ベテランパイロットだけでなく、若い人にも楽しめる新しい翼。たくさんの人にこの楽しさを味わって頂きたいと心の底から思っている。
(REPORT:Shoichiro TADANO)
SPEC INFORMATION
サイズ | 18 | 20 | 22 | 24 | 26 |
セル数 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 |
翼面積(投影)㎡ | 18.24 | 20.08 | 22.02 | 24.05 | 25.93 |
翼面積(実測)㎡ | 21.54 | 23.72 | 26.00 | 28.40 | 30.62 |
翼幅(投影)m | 8.18 | 8.59 | 8.99 | 9.40 | 9.76 |
翼幅(実測)m | 10.52 | 11.04 | 11.56 | 12.08 | 12.54 |
アスペクト比(投影) | 3.67 | 3.67 | 3.67 | 3.67 | 3.67 |
アスペクト比(実測) | 5.14 | 5.14 | 5.14 | 5.14 | 5.14 |
飛行重量 kg | 55-75 | 65-85 | 75-95 | 90-110 | 105-130 |
機体重量 kg | 4.10 | 4.30 | 4.50 | 4.70 | 4.95 |
安全規格(EN/LTF) | A | A | A | A | A |
価格(税別) | ¥520,000 | ¥520,000 | ¥520,000 | ¥520,000 | ¥520,000 |
[製造元]PHI/オーストリア
[輸入・販売元](有)エアハートコーポレーション
[URL]http://www.airheart.jp/