ギア・インプレッション

SCALA LIGHT

PHI

SCALA LIGHT

エックスアルプスフリークが
作り上げた戦う翼!

ファイ初のDクラス2ライナーと
独特のプロファイルが引き出す
最高のフライトパフォーマンス
アスリートが求める理想が具現化した。

パペシュはエックスアルプスフリーク

 コンピュータープログラムでパラグライダー飛行を解析しグライダーを設計する。ファイ設立者でありデザイナーのハンネス・パペシュは、今では当然の行程に1990年代後半から取り組んできた。彼がデザインするグライダーは「安全でよく飛ぶ機体」が代名詞となっているものが多く、蓄積された膨大なデーターと解析技術のなせる技と言える。
 その彼がエックスアルプス2021の為に満を持して作り上げた2ライナーDクラスが、スカラエックスアルプス(※販売モデルはスカラライトのネーミングが与えられている)だ。今回はエックスアルプス参加に向け、日本でこのグライダーを受け取った時から、エックスアルプス参戦、そして現在に至るまでをレポートする。

目指したのは究極のエックスアルプス機!

 エックスアルプス2019の時、パペシュはグライダー提供を快く受け入れてくれた。マエストロエックスアルプス(ハイエンドBクラス)で参戦し、話題を集めた。しかし難しいサーマルコンディションになると、Dクラスの2ライナーに後塵を拝し、悔しい思いで降りてしまった局面があった。着陸直後にパペシュから連絡があり「やはりBクラスでは限界がある」と話し合った。レースをライブトラックで常に追いかけ、トラックログの動きでグライダーのパフォーマンスを読み取る能力に驚いたことを思い出す。
 2年の歳月を費やして完成させたスカラエックスアルプス。アドバンス時代にオメガエックスアルプスのデザインも手掛けているので、アスリートが望むパフォーマンスが何なのかは重々承知だ。ファイ初の2ライナーに独特のプロファイルを投入し、格別のパフォーマンスを出すことに成功したとのレポートがあり、手元に届くまで資料を見返してわくわくする毎日を過ごした。
 翼端がとても小さいシャープなプランフォームはとてもセクシーだ。アスペクトレシオは抑え気味の6.77だが、セル数が78セルととても多く、サーフェースが滑らかでフライト中の実際のアスペクトレシオは効率が良いに違いない。メインラインが横方向に2本のコンセプトは、パフォーマンスの高さを想像させる。

山岳フライトでパフォーマンスを確信

 5月初旬、やっと届いたスカラエックスアルプスのファーストフライトはホームエリアのJMB立山で。さらに2500mの室堂かららいちょう沢を上がり剣御前の小屋付近からのフライトを計画。3000m級の山はいまだ氷の世界、山頂フライトをあきらめ途中の雪庇から。30度以上ある斜面でサイドフォローだったが、翼端部へ少し風をはらませてやることで、翼は頭上までしっかり上がってくる。ランディングは噴煙上がる地獄谷付近へ追い風でアプローチだったが、効きの良いフレアーに大満足した。
 2度目の立山は、室堂から立山の山稜へ上がり、剣岳トップアウトして海岸まで30?のフライト計画。サーマルコンディションが乏しく剣岳は山頂直下をかすめただけだったが、滑空比の良さに助けられ人里まで滑空比9強のフライト。グライディングパフォーマンスを肌で感じることができた。
 出発直前、栂池でハイク&フライ。この時にはランディングがとんでもない乱流地帯だったが、失速特性の良さとブレークプレッシャーのわかりやすさに感動した。エックスアルプスではピンポイントに降りることも多いが、この粘りのブレークタッチと安心の失速特性を作り出してくれたパペシュとテストパイロットのマイククングへ感謝のメールを出した。

独特のプロファイル効果

 飛行中のBライザーは非常に軽く、2ライナーのAとBの荷重配分がかなりA側に寄っている。この独特のプロファイルの採用が、ズバ抜けた安定感のある飛行特性を生み出している。2ライナーの高速飛行では、一般的にBライザーでピッチコントロールをするのが常だが、スカラライトではピッチコントロールはほとんど必要ないぐらい安定している。
 エックスアルプス初日の核心部は、ダハシュタイン氷河の山稜に差し掛かった岩盤のリーサイドに集まったトップグループのパイロットから、誰が先に抜け出すかというところだった。私はトップで抜け出したマキシムピノとほぼ同時のトップアウトすることができ、荒れたリーサイドでの操作性に大満足だった。

一生これで!

 エックスアルプスから戻り、スカラライトに興味のあるパイロットに試乗してもらっている。皆口をそろえて、安定感と安心感、乗り味の良さに大満足の様子だ。実際、エックスアルプスで一度も翼が潰れることはなかったし、不安感を感じることもなかった。
 今でもスカラライトを小さなバックパックに詰め込み、財布と携帯だけもってプチエックスアルプスを楽しんでいる。この手軽さ、乗り心地の良さ、パフォーマンスの高さ、高速安定性、そして翼を見上げたときの翼端の美しさからうける満足感など、非の打ちどころのない完成度だ。まだまだ続くパラ人生だが、一生この機体で良いという気になっている。スカラライトは本当に愛してやまないグライダーだ。

(REPORT:Kaoru OGISAWA)

SPEC INFORMATION

サイズ 18 19
セル数 78 78
翼面積(投影)㎡ 17.71 18.95
翼面積(展開)㎡ 20.56 22
スパン(投影)m 9.48 9.8
スパン(展開)m 11.8 12.20
アスペクト比(投影) 5.07 5.07
アスペクト比(展開) 6.77 6.77
機体重量 kg 3.35 3.45
飛行重量 kg 65-85 75-100
安全規格(EN/LTF) D D
価格(税込) ¥825,000 ¥825,000

[製造元]PHI/オーストリア
[輸入・販売元](有)エアハートコーポレーション
[URL]https://www.airheart.jp

2022年春号掲載)