ギア・インプレッション

MAESTRO 2

PHI

MAESTRO 2

Hi-Bクラスの新時代到来!

76セルと追加されたミニリブ。
新しい技術を凝縮して、
生まれ変わったマエストロ2。
劇的な性能の飛躍を体験してほしい!

ニューモデルが続々登場!

 2022 年のファイはソナタ2、シンフォニア2に次いで、マエストロ2がリリースされた。スーパーAクラスのシンフォニア2も試乗したが、安定感、操作性、レスポンス、より飛びやすくより安全になるなど、あきらかに前作より良くなっていると感じられ楽しめる翼だった。
 そんなこともあり、マエストロ2がどれぐらい期待に応えてくれるのか?
 わくわくしながらテイクオフに向かった。この日の岩屋エリアは、曇りで時々日が射す程度で渋い。
 キャノピーを広げてみると、前作にあったミニリブがなくなった代わりに、セル数が60から76に増えていた。ミニリブを減らして、セル数を増やし、翼上面のフォルムを美しく仕上げたようだ。アスペクトは変わらず5.56なので、ハイエンドBになる。
 ライザーは分岐したAとB−Cの構成で、Cライザーにはリアライザー用のバーが装着されている。Cを引くとB、A2、A1と連動していてロスの少ないブレーキングができるようになっている。
 キャノピーを全体的に見ると、シャープな感じではなく楕円形に見える。アスペクトのわりにゆったりした形に思える。空中でどんな動きをするのか楽しみだ。

さっそく飛んでみよう

 今回はマエストロ2の23サイズ(90-110kg)にハーネスはアエロタクトのピリカで、飛行重量は92kg。ライズアップは、ゆったりスムーズに上がってくる。勢いよく上がる感じがないので心地良い。エアインテークが細く小さく見えたので少しもたつくのかと心配したが、まったくそんな感じはなかった。
 頭上安定も簡単。ブレークはストロークを少し長く使わなければならない感じはするが、Bクラスらしいハンドリングだ。
 意気揚々と飛び出したわりに、曇っていてサーマルがない。とりあえず通称“横田尾根”までグライディングさせてみる。フルグライドからハーフアクセルを使ってみると、スムーズな加速を感じられた。スピードブレークシステムのライザーなので、コントロールも容易だ
 尾根の上にあるはずのサーマルがなく、そこで奥の手、谷風と山の風がぶつかる平野部に狙いを定めた。これが正解。しかし高度が低いので、サーマルが小粒な気泡みたいな感じでまとまっておらず、1周回す中で上がったり下がったりと難しい状態だった。
 そんな中でもマエストロ2は、ゆったりしている。最初はもたついた感じがすると思っていたが、曲がりたいところで曲がれて、バンクを深くしたいところで深くできる。気流による不安定感はあまりない。ハイエンドBというわりに安心感と安定感が心地良く思えた。これをどう表現したらいいのかしばらく考えながら飛ぶことにする。
 高度が500mぐらいまで上がったところで、周りにはCクラスやDクラスの機体が一緒に飛んでいる。相変わらず渋いサーマルだが、周りの上位クラスのキャノピーに上げ負けする感じはない。操作がゆったりで、無駄なカウンターブレークがないからロスが少ないセンタリングができる。
 高度が高くなるにつれ、サーマルもまとまり強くなりだした。いつも一緒に飛んでいるDクラスのパイロットと雲底まで上げ切って、道の駅の先まで3kmほどグライディングすることにした。
 私が先行していたので、Dクラスのパイロットにグライディングの性能差は感じられたか聞いたところ、「あまり大きな差は感じられなかった」とのことだった。スピードバーも併用してグライディングしていたので、実践的な動きの中での比較だった。

マヌーバー

 片翼を潰してみた。ドンと潰した後のリアクションは、ゆっくりと90度回って回復した。開き方は、パラパラパラとゆったり回復する感じで、落ち着いたリアクションに感じられた。コラップスは回復時の安定感が良く、過度に前に行ったりせずゆったり。
 飛行重量を10kg増量して同様のマヌーバーを試したが、リアクションは強くならずゆったり。開き方は、重い方が早い感じがする。
 ビッグイヤーは、A2ライザーを使用する。バサッと潰れて、翼端は折れたまま安定している。ライザーを離しても自力回復せず、ブレークコードで少しポンピングすると回復した。高度処理で使う場合は、マエストロ2のようにスタックしてくれた方が楽なのでこれは良いと思った。

まとめ

 これまで、テノール、ビート、マエストロなどファイのキャノピーをインプレッションしてきたが、同じBクラスでもそれぞれ特徴が違う。今回のマエストロ2は「ゆったり」楽しみたい方にお勧めだ。
 尖った感じのしない、まろやかなフィーリング。ゆったりしたリズムで、ソアリングを楽しみ、この爽快なグライディングをぜひ体感していただきたい!

(REPORT:Shoichiro TADANO)

SPEC INFORMATION

サイズ 19 21 22 23 25
セル数 76 76 76 76 76
翼面積(投影)㎡ 18.82 20.81 21.81 22.77 24.72
翼面積(展開)㎡ 21.86 24.15 23.35 26.45 28.72
スパン(投影)m 8.81 9.26 9.49 9.69 10.1
スパン(展開)m 11.02 11.59 11.87 12.12 12.63
アスペクト比(投影) 4.13 4.134.134.134.13
アスペクト比(展開) 5.56 5.565.565.565.56
機体重量 kg 4.3 4.75 4.95 5.1 5.45
飛行重量 kg 65-85 75-95 83-103 90-110 105-115
推奨飛行重量 kg 65-90 75-100 83-103 90-115 105-135
安全規格(EN/LTF) B B B B B
モーター拡張荷重 kg 85-90 95-100 103-108 110-115 130-135
安全規格(DGAC) i.A i.A i.A i.A i.A
価格(税込) ¥682,000 ¥682,000 ¥682,000 ¥682,000 ¥682,000

[製造元]PHI/オーストリア
[輸入・販売元](有)エアハートコーポレーション
[URL]https://www.airheart.jp

2022年秋号掲載)