OZONE

MOJO

上質で小気味よいハンドリングの
オールマイティーグライダー

今、最も元気のあるブランドの一つであるオゾンがリリースしたDHV1グライダーのモジョ。オゾンでは、2003年末から安全に対してより厳しくなったDHV基準に適合するDHV1グライダーをリリースしてきた。そんな中で、はたしてモジョには躍動的なオゾンのハンドリングは継承されているのだろうか？

こだわりのプロファイル

オゾンというメーカーは、素材選びに関して常に高い関心を持っていて、今回のモジョにも丈夫で長持ち、そして軽いというテーマで最高の素材を厳選したようだ。
まず、丈夫で長持ちを証明するために荷重試験でヴァルカン同様12Gまで負荷をかけてテストを行なった。通常の荷重試験は8Gまでしかテストしないので、単純に1.5倍の強度テストをしていることになる。
キャノピー上面は、対磨耗性、紫外線劣化、引っ張り強度等に優れるゲルベノールである。水にも強く、朝露などで地面が湿っていても水をよくはじくため汚れもつきにくく、下面とリブには軽量のポルシェマリンを採用している。
トレーリングエッジ翼端には、キャノピー内のゴミ出し用にベルクロがある。もちろん縫製についても荷重試験で証明されているとおり丈夫で仕上がりも丁寧だ。
ライザーは、シンプルな翼端折りライザー付3本ライザーで、ボトムラインにコシがあるので手元のラインチェックは楽だ。しかし、キャノピー近くはラインが細いのとそれなりの本数があるのでしっかりとチェックする必要がある。

上質さと小気味よさを兼ね備えたハンドリング

ライズアップはとても自然。ピッチ安定は中立で、頭上でキープするのに少しブレークコードを引いておいてあげればどっしりと安定している。テイクオフで頭上にキャノピーをキープさせたあと、ゆっくりとバンザイするとキャノピーが滑らかに走り始めるので、それにあわせて2〜3歩足を動かすと軽やかにテイクオフできた。
少し高度を稼いでからわざと真っ直ぐに飛んでいると、荒れたコンディションにも関わらず、一定のピッチを保ちながらきれいに直進する。DHV1-2のヴァイブだともっと風見効果が強いのだが、どっしりとしている。
ブレークのフィーリングは想像以上に良い。あまりブレークコードを引き込まないでターンをすると初級モデルのような安定した動きをするが、操作幅を有効に使うと面白いように切れの良いターンができる。上質さと小気味良さを兼ね備えたハンドリングである。ターンのときの沈下も少ないので、リッジソアリングをしていても他のグライダーに比べて、いい位置をキープできる。
結構スピードがある割に浮きが良い。強いサーマルでもセンタリングのロールのコントロールに気を使うことがないし、外翼をほとんど手放ししていても意外とうまく飛べてしまうのである。
アクセルはダブルプーリーのため軽く、それでいて加速性能は十分である。フルアクセルでも意外なほど沈下が少なく、またインテークのばたつきは皆無でしっかりと張りがあり見た目も美しく、モジョが丁寧に作りこまれていることを実感できる。通常フライトにおける潰れにくさは、春の強風の条件下でも安心してフライトできたことから証明できる。
スパイラルは2周目あたりから急激にGが増して沈下が増える感じがあり、慣れないパイロットが低高度で興味本位に行なうのは避けた方がよいだろう。

モジョの楽しみ方

モジョの最大の持ち味は？ と聞かれたら迷わず上質さと小気味よさを兼ね備えたハンドリングといえる。サーマルでセンタリングしている時のフィーリングが最高なのだ。移動する際もストレスがなく、滑るように飛んでしまうので上級グライダーを乗り継いだ方でも楽しめるオールマイティーなグライダーだ。

（REPORT：Masakazu SAITO）