ギア・インプレッション

MANTRA M3

OZONE

MANTRA M3

ハイアスペクトなのに乗りやすい!オゾンのシリアルモデルの最上級機

今年に入ってワールドカップにおいてオゾンユーザーが増え、フランス、ドイツの大会でも躍進している。性能、そして扱いやすさ、操作性、信頼性が高く評価された結果だ。彼らが使うコンペモデルから得られた多くの技術が、M3を始めとするシリアルクラスにフィードバックされている。
M3はマントラシリーズとして3作目。前モデルのM2は、3列ラインを採用したことで話題を呼んだが、今回のモデルチェンジの目玉は? さっそくチェックしてみよう。

進化は止まらない!

マントラM3では、ついにアスペクトを高くし、内部構造も非常に手の込んだ形状になっている。オゾンは闇雲にアスペクトを上げるのは賛成ではないが、安全性やハンドリング、扱いやすさなどのトータルバランスを考慮してこの結果になったと言っている。
トレーリングエッジ全体にはハーフリブを入れている。これにより翼の表面をきれいにし、気流の流れが改善されたそうだ。ブレークコードの取り付け部にはリングを取り付け、フラップ効果を出すことによりサーマルでの上昇を手助けしている。ライン抵抗は、M2に比べ11%少なくなっているという。
ラインの材質は、すべてエーデルリッド製のUVコートされた被覆なしのアラミドラインを採用。経年による長さの変化が最小限なので、ラインチェックもダイニーマほど頻繁にせずに済む。

小気味良い飛び味

最近の上級モデルはライズアップが難しいものが多い。その点M3は相変わらず立ち上がりが軽く、突っ込みが抑えられており、ブレークでの細かい修正も少なく、クラスとしては難しくない。飛び出して最初の印象は、意外と安定しているということ。もっといやな動きをするかと思っていたので拍子抜けしたぐらいだ。
ハンドリングは絶妙だ! バンクのかかりは意外と少なく、素直にノーズが行きたい方向だけを向いてくれるので沈下も少ない。最近のこのクラスは小回りがきかないグライダーもあるようだが、M3は小さなサーマルでもとてもきれいに回せるので気持ちが良い。 巡航スピードは、このクラスでは標準的。失速速度は21km/h前後で、想像以上に粘る。ただし絶対的なストロークは長くない。
フルアクセルは49km/hで安定。十分以上に速く、またとてもスムーズに踏み込め、競技の時の足への負担は少なくて済みそうだ。速度を上げても沈下が思ったよりも少なく、山から沖にグライドして、そこからのグランドサーマルを拾い再び上昇することができたので驚いた(ここのエリアではあまりないケースだったので)。

圧倒的に飛ぶ!

あえてLTF2-3クラスに乗る必要もないくらい、グライダー性能が底上げされて久しいが、今回の試乗を終えて、あえて言わせてもらうならば「圧倒的に飛ぶ!!」ということだ。もちろんスキルは求められるが、M3に乗ることで得られることは多い。
また、今までコンペ機におそるおそる乗っていた方がM3に乗ると、なんと乗りやすくてよく飛ぶのだろうと思うに違いない。グライドしている時は、他のグライダーと並んで性能を比較したくなる衝動に駆られるのが唯一の悩みかもしれない。

(REPORT: Masakazu SAITO)

SPEC INFORMATION

サイズ S M L
セル数 63 63 63
翼面積(投影)㎡ 20.4 22.1 24.3
翼面積(実測)㎡ 24.0 26.0 28.5
翼幅(投影)m 9.9 10.4 10.8
翼幅(実測)m 12.5 13.0 13.6
アスペクト比(投影) 4.8 4.84.8
アスペクト比(展開) 6.5 6.56.5
機体重量 kg 5.8 6.0 6.2
飛行重量 kg 67-87 82-102 97-117
ルートコード 2.43 2.51 2.65
L/D
安全規格(EN/LTF) D/2-3 D/2-3D/2-3
価格(税込) ¥556,500 ¥556,500¥556,500

[製造元]OZONE/フランス
[輸入・販売元]ファルホークインターナショナル(有)
[URL]http://www.falhawk.co.jp/

(2009年8月号掲載)