ギア・インプレッション

DELTA

OZONE

DELTA

脅威のポテンシャル!
まさに究極のスポーツグライダー

オゾンに関しては、この1年話題に尽きない年であった。先日9月末からトルコで行われたスーパーファイナルでは、1位から20位までのなんと16機がオゾンのコンペ機マントラR10だったのだ。そのDNAを引き継いだスポーツモデルには、早くも世界中から絶賛の声が湧きあがっているという。

デザイン

オゾンのコンセプトはいつも明快だ。一言でいうなら、「乗りやすくて楽しい」。そして今回のデルタに関しては、それにプラスしてクラス最高性能の追求である。
デルタは前モデルのアディクト2からデザインを一新している。マントラR10やbbHPPで得られたデータをもとに、翼型や内部構造、ラインプランを再構成している。ライン抵抗は、アディクト2に比べて33%も少なくなっているという。ライン抵抗は、グライダーの抵抗の3分の1を占めると言われているだけに、性能に大きく寄与している。
そして、リーディングエッジには、ナイロン製のロッドがインテークの上からAラインの取り付け部付近まで入っており、見た目に強そうで潰れにくそうな感じだ。

インプレッション

完全な無風状態でリバースでテイクオフしたが、びっくりするほど綺麗に翼が立ち上がった。多少風が入っているときは勢いよく上がって来るときもあるが、強くAライザーを引き過ぎないように注意するとよい。テイクオフの瞬間グッと上につまみ上げられるように加速。この瞬間だけでもデルタの性能を感じられた。
Sサイズを飛行重量の真ん中位で乗るとスポーティーな味わい。引くとすぐ反応するダイレクトさは病みつきになるような楽しさがある。Mサイズを軽めで乗ると、穏やかで優雅なフィーリング。軽めで乗っても翼はカチッとしていて不安はない。
細かいサーマルに翼がすぐに反応するので、はじめはその動きに慣れないかもしれないが、慣れるとわずかなサーマルも拾うことができて都合がよいだろう。今まで感じた事がないほどに剛性が高く、潰れそうだとか翼がシェイクするような不安な気持ちには全くならない。
そして、そのグライド。これが一番の特徴かもしれない。オゾンの比較テストでは、滑空比は最新のEN−Dとほとんど変わらないとのこと。特に、アクセルを踏んだときの加速感、特に安定性は際立っていて、非常に高いポテンシャルを感じることができた。

非の打ちどころがない!

今回、2サイズを乗り比べた。当然のことなのだが飛行重量によってハンドリングは印象がずいぶん違った。真ん中から重めだと結構スポーティー、軽めだとしっとりとしたハンドリングでそれぞれの良さがあった。
確かに世界中で売れているグライダーだけあって、今までに感じたことがない高速域での安定、滑空性能、素晴らしいハンドリングと非の打ち所がない。オゾンの自社工場では、400人のスタッフがフル活動しているらしいが、それでも生産が需要に追いついていないらしい。あえて、このグライダーを選ぶときの欠点?といえば多少納期がかかるということ、畳むのにコツがいることぐらいしか見当たらないと感じた。

(REPORT: Hajime MIYABI)

SPEC INFORMATION

サイズ XS S M L XL
セル数 58 58 58 58 58
翼面積(投影)㎡ 18.9 20.7 22.4 24.4 26.9
翼面積(実測)㎡ 21.9 24.0 26.0 28.3 31.1
スパン(投影)m 9.12 9.54 9.93 10.35 10.87
スパン(実測)m 11.33 11.86 12.33 12.86 13.50
アスペクト比(投影) 4.4 4.4 4.4 4.4 4.4
アスペクト比(実測) 5.85 5.85 5.85 5.85 5.85
ルートコード m 2.44 2.55 2.66 2.77 2.91
機体重量 kg 5.2 5.4 5.6 5.8 6.0
飛行重量 kg 55-70 65-85 80-100 95-115 110-130
安全規格(EN/LTF) C/C C/C C/C C/C C/C
価格(税込) ¥504,000 ¥504,000 ¥504,000 ¥504,000 ¥504,000

[製造元]OZONE/フランス
[輸入・販売元]ファルホークインターナショナル(有)
[URL]http://www.falhawk.co.jp/

2010年12月号掲載)