ギア・インプレッション

BUZZ Z

OZONE

BUZZ Z

進化か、熟成か。
より完成度を高めたファンフライト・グライダー

オゾンの主力機のひとつであったバズの後継モデルの名称は予定されていた「バズ2」ではなく、「バズZ」。同機に込められたオゾンの狙いとは何か。そして、その性能に進化は見られるのか。

ファーストインプレッション

バズZは前モデル同様、ファンフライトをこよなく愛するユーザーを対象にしている。ぱっと見た目では翼の進化はなさそうに見えるが、よく見ると実はずいぶん改良が加えられている。アスペクトは、扱いやすさを考慮して以前と変わらないが、セル数が3セルほどスパン方向に増えており、Vリブの構造を変えて翼をより滑らかにしている。
そして、新しいVリブの構造変化はラインのアタッチメントを減らすことに成功し、トータルで47mもライン長が短くなったという。さらに新しいプロファイルは、ブレークコードの重さをより段階的に分かりやすくし、失速速度を下げ安全にしている。エアインテークはパフォーマンスを向上させるために少し小さくなった。要するにオゾンは、乗り手のリスクを高めることなく、性能を上げることに努めたといえる。
また、我々が一番注目したいのは、6サイズがラインアップされたことだ。サイズを、SとM、MとLのどちらにするかで迷う必要がない。日本人に多い体重55〜75kg前後の人には朗報だろう。

旋回性・ストール特性

第一印象は、素直なコントロール特性だということ。初期の外翼の入り込みが自然でスポーティーな印象を受けるが、ロールがゆっくりで、過度に食い込んでいく印象はない。バズよりもノーズが突っ込みにくい感じなので、同等の旋回半径をキープするのが容易でロスも少ないはずだ。翼はきれいについてきてくれるので、ストレスなくサーマルソアリングを楽しめる。
ストール付近の挙動をみるため、両方のブレークコードを徐々に引き込んでみた。失速までのストロークはかなり長く、翼が不安定になり始めてからさらに10cmほど引き込んでやっとストールした。その際はかなりの重さがあるので、間違ってストールさせてしまうことは通常は考えにくい。その後の回復も、過度にかぶってこないので対処は楽だった。
Bストールは、しっかりと沈下を得られてからも意外に重い。200mの高さを非常に風の強い場所で沈下させたが、安定しており、重さを気にしなければ降下手段として非常に有効であると感じた。

バズZの総合評価とオゾンの狙い?

バズは私のお気に入りのグライダーだったので今回の試乗はとても楽しみだった。結果は期待を裏切らない、大いに満足のいくものであった。改良を加えるのに大きな冒険をせず、こつこつとバズを熟成させたことで、遂にマイナス要素がない完成されたバズが仕上がった…、そんなメッセージを込めて、オゾンはバズZと命名したのではないだろうか。
Zはアルファベットのラストであり、ゴールへの到達を想起させてくれる。そんな本機はまさしくオゾンの主力モデルとなる予感がする。興味のある方はぜひお試しあれ!

(REPORT:Hajime MIYABI)

SPEC INFORMATION

サイズ XS S SM ML L XL
セル数 45 45 45 45 45 45
翼面積(投影)㎡ 19.1 20.7 22.2 23.7 25.2 27.4
翼面積(実測)㎡ 22.2 24.0 25.8 27.5 29.3 31.8
翼幅(投影)m 8.43 8.76 9.10 9.38 9.68 10.08
翼幅(実測)m 10.65 11.07 11.50 11.85 12.23 12.74
アスペクト比(投影) 3.7 3.7 3.7 3.7 3.7 3.7
アスペクト比(実測) 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1 5.1
ルートコード m 2.64 2.74 2.86 2.94 3.03 3.16
飛行重量 kg 55-70 65-85 75-95 85-105 95-115 110-130
適正技能 JHF-NP証以上 JHF-NP証以上 JHF-NP証以上 JHF-NP証以上 JHF-NP証以上 JHF-NP証以上
安全規格(DHV/AFNOR) (1-2)/― 1-2/― 1-2/― 1-2/― 1-2/― 1-2/―
価格(税込) ¥441,000 ¥441,000 ¥441,000 ¥441,000 ¥441,000 ¥451,500

[製造元]OZONE/フランス
[輸入・販売元]ファルホークインターナショナル(有)
[URL]http://www.falhawk.co.jp/

(2007年6月号掲載)