ギア・インプレッション

ALPINA3

OZONE

ALPINA3

高性能なのに乗りやすい!

高い評価を受けているデルタ3ベースの軽量グライダー、アルピナ3がデビュー。 デルタ3の良いところを全て継承しつつ、平均で1kgの軽量化を達成。 ハイクアンドフライからXCフライト、海外フライトまでをカバーする頼もしい存在だ。

構造とマテリアル

ヨーロッパではハイクアップが人気なので、必然的にコンパクトに収納できる軽量モデルに注目が集まっている。しかし軽量グライダーは、ライズアップやフライト特性にもメリットがあるのも人気の一因なのだ。キャノピーの構造はデルタ3に準じている。EN-Cクラスとして、展開アスペクト6.0は決して高くない。最近のオゾンは高性能になってもアスペクトは上げない、或いは若干下げるというモデルチェンジで扱い易さに重点を置いている。ハイアスペクト=高性能という図式が一概に成り立たないのが最近のオゾングライダーの傾向だ。オゾンはトータル性能にこだわって開発を行っている。
機体重量はデルタ3のMSサイズが5.28kgに対し、アルピナ3は4.3kgなので約1kg、20%近く軽量化されている。ライザーはデルタ3と同一なのでキャノピーだけでずいぶんと軽量化されていることがわかる。

フライトインプレッション

デルタ3より20%軽くコンパクトに畳むことができるので、持ったときに実際の重量以上に軽く感じる。今回試乗したのは、SサイズとMSサイズ。飛行重量78kgなのでSだとやや重め、MSサイズだと下限になる。ライズアップはとても簡単だ。Aライザーに軽くテンションをかけると、フワフワ頭上にあがってくる。グランドハンドリングは、水を得た魚のごとく自由自在だ。風が弱いときには、特に生地の軽さを強く感じる。
テイクオフしてすぐの印象は、ハンドリングの軽快さと巡航速度の速さ(前モデルよりも+1.5km/h)だ。ハンドリングはセンタリングしているときに特に印象深い。Sサイズだと気持ちよくセンタリングでき、軽めで乗ったMSサイズでも最初のきっかけで少し強めにブレークを引くとスムーズにセンタリングできた。
ブレークプレッシャーはちょうど良く、動きは把握しやすい。長時間のフライトでも疲れないと感じた。左右の切り返しを繰り返していくと非常に運動性能が高く、全くストレスを感じることはない。まるで自分が上手になったようだ。

穏やかな挙動の優等生

フロントコラップスなど一連のマヌーバを行ってみた。翼端から11セル目にクローズしたセルがあり、それが片翼からの回復を穏やかにしている。アルピナ2よりも全体の挙動は穏やかで、とても優等生である事が分かった。Cクラスとしてダントツに潰れからの挙動は易しい。
アクセルは、ボールベアリング入りのビックプーリーを採用しているためとても軽い。軽量モデルであるがインテークの震えなどなく非常に安定している。微妙なアクセルワークも可能で、高速域を自由に楽しむことができる。
飛び終わって畳む際だが、プラスチックロッドは硬めと柔らかめのハイブリッドなのだが、硬い部分は短めなので畳みやすい。軽いだけでなく、通常のグライダーに比べて2割くらいコンパクトに畳めた。
標準カラーパターンは5色。カラーオーダーで使える生地はなんと13色。新色ピンク系が加わったので派手なカラーに仕上げてみてはいかがだろう。

どんな人にお勧めか

今や軽量モデルの耐久性は一般的なサンデーフライヤーが乗る分には問題ないレベルにある。色々なメリットを考えると、一つの選択肢だといえる。但し尖った枝などに引っ掛けた場合は、生地が破れやすいので注意が必要だ。
このアルピナ3はとにかく楽しいグライダーで、今年の個人的なフライトでは最も長い時間乗ってしまった。性能にこだわるベテランやEN-Cにステップアップする方にもぜひお勧めしたい!

(REPORT:Hajime MIYABI)

SPEC INFORMATION

サイズ XS S MS ML L
セル数 66 66 66 66 66
翼面積(投影)㎡ 17.0 18.6 19.6 20.7 21.9
翼面積(実測)㎡ 20.0 21.9 23.1 24.4 25.9
翼幅(投影)m 8.67 9.06 9.31 9.56 9.85
翼幅(展開)m 10.97 11.46 11.78 12.11 12.47
アスペクト比(投影) 4.44.44.44.44.4
アスペクト比(実測) 6.06.06.06.06.0
機体重量 kg 3.9 4.2 4.3 4.5 4.7
飛行重量 kg 58-70 65-85 75-95 85-105 95-115
安全規格(EN) CCCCC
価格(税別) ¥580,000¥580,000¥580,000¥580,000¥580,000

[製造元]OZONE/フランス
[輸入・販売元]ファルホークインターナショナル(有)
[URL]http://www.falhawk.co.jp/

2018年4月号掲載)