ギア・インプレッション

TYCOON

NOVA

TYCOON

NOVAが生み出した「答え(ツバサ)」に
注目せよ!

ノバ社の新たなパフォーマンスウィングの開発、それは「高性能と安全性の両立」という試みでもあった。グライダーの進化が著しい中、同社はどれほどのレベルで目標を実現できたのか?

プロファイル

見る限り手強そうなイメージを受けるタイクーンは、投影でのアスペクトが4.8という非常に細長い翼型を持っている。この4.8というのは、ブーメラン4の5.1程ではないが、ブーメラン3の4.84とほぼ同程度のハイアスペクトだ。
インテーク回りでは、5セルに対して1ダイアゴナルリブという構成になっており、翼剛性を保つ意味での通常の4インターナルリブ1ダイアゴナルより少なく設計されている。ハイアスペクトグライダーで、ブーメラン3より少ないセル数と少ないダイアゴナルリブの構成は、どういうパフォーマンスを持つのだろうか。

フライトインプレッション

相変わらず少ないライン構成は、いかにもノバという印象。目を引くのが、センターパートは外皮でカバーされた1.2mmのラインだが、翼端パートは外皮を持たない裸のラインが使用されている点。アエロンなどもそうであったようにアンダーサーフェースに接続されるアッパーラインを補足することでパフォーマンスは向上するということだ。
実際にフライトしてみると、まずはライズアップの軽さに驚かされる。ついで感じられるのが、スピード感と安定感、そして翼との一体感からくる安定感と安心感。タイクーンはピッチ安定感の素晴らしさに加え、キャノピー自体の翼剛性とのマッティングが良いので、サーマルコンディションでのターンをとても容易なものにしている。
これだけのハイアスペクトグライダーは、バランスがとれていなければ、ターンでのブレーク操作に伴い内翼が絞り込まれたり、外翼の細かな動きに対応する難しさや不安定感等を克服しなければならない。タイクーンは翼が固いわけではないものの、一体感を持ってターンしてゆけるのだ。
スピードセンサーに個体差があるので、トップスピードは一つの目安にしてもらえればいいと思う。Mサイズにスターティングウェイト100kg。テクニカルデーターの丁度中間。トリムスピード40km/h。フルアクセル時55km/h。テイクオフした瞬間から滑るようにグライディングしてゆくのは快感だ。しかし、それ以上にスピードレンジ幅が15km/hという幅を持っていることに注目したい。
グライディング性能について、ノバは、L/Dは10を超えたと発表している。確かに直進安定性は従来のハイパフォーマンスグライダーの中でも群を抜いており、まるでハンググライダーに乗っているかのように、あっという間にポジションを大きく移動できる。

高度な機体だからこそ広がる楽しみ

多くのパイロットがDHV2-3を離れ、クラス2の性能でフライトをエンジョイしたが、今また、より性能を求めて再度クラス2-3に目を向け始めている。
確かにクラス2-3というカテゴリーは、他のカテゴリーに比べてコントロールがシビアかもしれない。しかし時代は移り変わり、変貌してきた。スポーツ性豊かなグライダーでより広い空を目指すには、最適なグライダーであると断言できる。スピードに、サーマルでの上昇性に、滑空性能に酔いしれることだろう。
なお、宮田歩、辻強両氏のコメントも参考にしていただければよりイメージが膨らむだろう。掲載アドレスはこちら→http://www.aerotact.co.jp/aero01/tycoon.htm

(REPORT:MASATO SOGABE)

SPEC INFORMATION

サイズ S M L
セル数 71 71 71
翼面積(投影)㎡ 21.00 22.90 24.95
翼面積(実測)㎡ 24.3 26.57 28.92
翼幅(投影)m 10.04 10.49 10.95
翼幅(実測)m 12.49 13.05 13.62
アスペクト比(投影) 4.8 4.8 4.8
アスペクト比(実測) 6.41 6.41 6.41
機体重量 kg 5.5 6.0 6.5
飛行重量 kg 70-100 90-110 95-130
速度(MIN/TRIM/MAX)km/h
沈下率
L/D
安全規格(DHV/ACPUL) 2-3/(PER) 2-3/(PER) 2-3/(PER)
価格(税込) ¥556,500 ¥556,500 ¥556,500

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2006年2月号掲載)