ギア・インプレッション

TRITON

NOVA

TRITON

ハンドリング特昇性、スピード、上性能、
その全てが傑出した
シリアル・ハイパフォーマンスグライダー

ノバの新しい2-3クラス機「トリトン」。待ちに待たれ遂に完成されたコンペ機「トリトンX」がそのベースとなっている。戦闘的な翼は、シリアルモデルとしてどのように生まれ変わっているのだろうか。

独自の翼構造

機体重量はSサイズで5.6kg。同じクラスの翼においてはかなり軽量の部類に入る。シンプルな構造で、特にリーディングエッジ部に特別な補強はなく、極細のインテークがやはり戦闘的な印象。LTF2のファクターやコンペクラスのトリトンXと同様、ボトムセイルにインテグレイテッド・ベクトルバンドが使用されている。このベクトルバンドが張ることによって、翼のテンションはより均一に保たれ、高速域でのパフォーマンスが向上されるのだ。

翼からのフィードバック

ライズアップは翼中央部から先に上がってくるので非常に素直な印象を受ける。無風時においては、無造作に広げたセットアップでは、翼端部が折れた状態で上がってくることがあるので注意が必要だ。
トリトンは、サーマル内でのリフトに対してサーチする動きが非常に強い。グライダーからパイロットに伝わるフィードバックは大きく、サーマル内の弱いリフトでも確実に感じることができる。上昇成分の強い方向へ自然とトレースすることができた。
前モデルのタイクーンに比べて翼に対してのパイロットポジションが近くなったことで、旋回性は格段に向上した。ハイアーチとの愛称は良く、穏やかなサーマル内でのフラットな効率の良い上昇を生み出している。
荒れたサーマル内でのハイバンクターンも自由自在。旋回初期のロールインは体重移動を先行し、グライダーのロールが始まると同時にブレークコードを引き込んでいくと、スピードの乗った切れ味良い旋回が始まる。旋回をキープするには、内側ブレークコードの積極的なコントロールが必要だ。
ライザーのアクセルシステムはいたってシンプル。アクセルバーを踏み込むとその加速感をすぐに感じることができる。加速すると翼にはより一体感が生まれる。荒れたコンバージェンスラインをトランジットしてみるが、ピッチ方向の安定感は抜群で、スピードバーはそのままで高速トランジットが可能だ。特に向かい風に対するペネトレーションには目を見張るものがある。この高速域でのハイパフォーマンスは、トリトンの最大の特徴といえるだろう。

ハイパフォーマンスをあなたに

競技会に参加するパイロットはパフォーマンスを引き出すために従来上限でのフライトをしがちだが、日本のコンディションでは、Sサイズで95kg、Mサイズで105kgの加重でベストと感じた。強く荒れたコンディションでは、もちろん上限でのフライトにおいて最大パフォーマンスを引き出すことは可能だ。
トリトンXの戦闘力を継承ながらも、LTF2-3の安全性を確実にクリアしてきた「トリトン」。競技に限らず、XCの場面でも、スピードに、サーマルでの上昇性に、滑空性能に酔いしれることだろう。

(REPORT: Ayumu MIYATA)

SPEC INFORMATION

サイズ 18 20 22 24
ズームファクター 0.945 0.990 1.04 1.08
セル数 71 71 71 71
翼面積(投影)㎡ 18.4 20.4 22.29 24.03
翼面積(実測)㎡ 21.94 24.3 26.57 28.66
翼幅(投影)m 9.18 9.67 10.11 10.49
翼幅(実測)m 11.86 12.49 13.05 13.55
アスペクト比(投影) 4.58 4.58 4.58 4.58
アスペクト比(実測) 6.41 6.41 6.41 6.41
ライン直径 mm 0.6/0.8/1.20.6/0.8/1.20.6/0.8/1.20.6/0.8/1.2
ライン長 m 6.8 7.16 7.49 7.77
ライン全長 m 300 316 331 344
コード m 2.32 2.45 2.55 2.66
ディップ m 0.47 0.5 0.52 0.54
機体重量 kg 5.1 5.6 5.9 6.3
飛行重量 kg 70-90 80-105 90-115 100-130
安全規格(LTF/EN) (2-3/D) 2-3/D 2-3/D 2-3/D
価格(税込) ¥577,50 ¥577,500 ¥577,500 ¥577,500

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2009年2月号掲載)