ギア・インプレッション

Syntax Easy Walking

NOVA

Syntax Easy Walking

万人向けの操作感覚をそのままに軽量化!
山岳フライトでも活躍

先にノバ社から発表されたシンタックスはDHV規格1-2を取得し、発売以降も多くのユーザーから好評を博している。そんなシンタックスの軽量化に成功した「シンタックス イージーウォーキング」。この進化によって、シンタックスはどのような変貌を遂げたのか?

重量軽減のニーズを実現

近年、滑空性能の向上につれてグライダー重量も増加する傾向にある。ハーネスや装備品の増加もあり、かつての小さなザックに全てが梱包されていた時代から比べると、大きさも重量も随分と増加してしまった。それについては、楽しく安全にフライト出来る環境になってきたという一面があるので反論することはないが、もっと軽い装備を望む声が増えていることもまた事実だ。
今回テストに使用したSサイズのグライダー重量は、5.0kg。従来のモデルだと同じSサイズは6.0kgと、わずか1.0kgの重量差だが、手に持つだけでもその差が大きく感じられる。

マテリアル

キャノピーのクロス素材はゲルベノールを採用し、従来モデルからの変更はない。メートル単位当たりの重量をわずかに軽くすることで、平面積27.52?という大きな面積での軽量化が実現した。ノバ社は、軽量クロスの採用でも通常のフライトにおける耐久性には影響ないと発表している。
シンタックスEWのライザーは15mm。25mmであったシンタックスよりも、10mm細いテープを採用している。もちろん強度的に問題はなく、堅めのテープを使うことで地上での取り扱いにも悪影響を与えていない。テープ幅に関係なく、柔らかい素材と堅い素材であれば、堅い素材の方が地上での取り扱いは優れていると思う。
シンタックスとシンタックスEWは同じ設計なので、外観に違いはない。違いはシンタックスが4色展開しているのに対して、シンタックスEWはゴールドの1パターンのみというところのみだ。

軽量化でフライトはどうなる?

では、機体の軽量化がフライトのあらゆるシーンでどのように影響するのかを比べてみることにしよう。
軽い素材を用いたキャノピーでは、先に述べたように持った時点で軽くなったのが実感できる。ライズアップはというと、重量差の1.0kgが良い影響を与えている。フィーリングを比べてみると、良い風が吹いている時には差はほとんど感じられないものの、無風時のフロントライズアップでは軽くなっていることが実感できた。同翼型は同じように風をはらみインフレーションも同じになるはずだが、身体、腕に感じる重量は軽いようだ。この軽さを実感するためにも、テンションを掛けた後はキャノピーが上がってくるのを足を止めて待ってみてほしい。
ハンドリングにも軽量化が生きている。フルグライドから通常使われるだろうと思われる範囲でのブレーク操作のテンション感に大きな差は感じられないが、サーマルコンディションで大きくブレーク操作をした時にはブレークテンションの増加が少なく感じられた。
ノバのグライダー全般に言えることだが、ブレーキング量に応じてブレーク圧が増加する際、オートマチック車のように同じような割合で増加してゆくのが特徴だ。
シンタックスEWは、大きなブレーク操作を必要とされる時ほど差が現れてくる感じだ。長時間のサーマルソアリングでは、その差はよりはっきりと感じられるだろう。
なお、今回はあくまでもシンタックスとシンタックスEWの差に注目して執筆しているので、この機体に共通する全体的な特徴については、シンタックスのインプレッションを参考にしていただきたい。1パターンしかない新カラーに問題がなければ、次回の購入時には選択肢の一つに入れる価値があるグライダーと言えそうだ。

(REPORT:Masato SOGABE)

SPEC INFORMATION

サイズ XXS XS S M L
セル数 31+8 31+8 31+8 31+8 31+8
翼面積(投影)㎡ 19.17 20.97 23.33 25.31 27.14
翼面積(実測)㎡
翼幅(投影)m 8.3 8.69 9.16 9.55 9.88
翼幅(実測)m
アスペクト比(投影) 3.6 3.6 3.6 3.6 3.6
アスペクト比(実測)
機体重量 kg 5.0
飛行重量 kg 55-75 65-85 75-100 85-110 100-130
速度(MIN/MAX/TRIM)km/h
沈下率
L/D
安全規格(DHV/AFNOR) 1-2/STD 1-2/STD 1-2/STD 1-2/STD 1-2/STD
価格(税込) ¥446,250 ¥\446,250 ¥446,250 ¥446,250 ¥446,250

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2004年9月号掲載)