NOVA

SYNTAX

特別な技術は必要なし！
イージーに楽しく空中散歩

ノバ社のラインナップの中で、フェロン（DHV1）とアルタックス（DHV1-2）の間のパフォーマンスに大きな差があり、スムーズな移行に支障があるというマーケットの声があったという。その声に応えるために登場したのが、新たなDHV1-2グライダー・シンタックスだ。

驚きのライン構成！

グライダーを地面に広げてみると、あまりのライン本数の少なさに驚かされる。従来からノバ社はライン本数を少なく設計してきたが、ここまで少ないライン構成は初めてのこと。
ライザーは、スプリットAからDまで4本ライザーのノーマルな構成であるが、そこから延びているラインは各2本ずつ（Bにスタビライザーに延びているラインが1本ある）。ラインは、短めのボトムラインからミドルライン2本にカスケードされ、センターを担当するラインはアッパーラインが同じく2本にカスケードされる。翼端部分を担当するラインは、ミドルラインまでは同じでアッパーラインが各3本にカスケードされている。
ここまでライン本数を少なくできるメーカーは、ノバ社以外にはないだろう。未来の設計思想がついにここに完成したと言える。
エアインテークにも工夫が凝らされている。クローズドセル全盛の時代ながら、フルオープンのインテークでラインが繋がっているローディングポイントは、若干大きいインテークであり、ラインで繋がっていないパートは若干狭いインテークになっている。

テイクオフ・ハンドリング

赤いテープの巻かれたスプリットAライザー4本を持ちテンションを加えてみると、少ないライン構成の割に翼変形を伴わずに軽い感覚でライズアップが可能だ。ノバのグライダーのライズアップは全体に重めだが、シンタックスは本当に軽く設定されている。
テイクオフへの移行は、頭上のコントロールから動き始めは非常にスムーズな動きをみせる。ライズアップからテイクオフの移行へ課題のあるパイロットにも違和感なくコントロールできるだろう。抜群の直進安定性で気持ちよく滑空してくれる。
フライト中も、地上でのコントロール同様、難しさが挙動に現れてこない。それだけではなく、少ないライン本数で翼型を保持している関係上、1本あたりの受け持つ面積は大きくなる。しかし、グライダー全体の柔らかさや剛性といったものは、逆に従来よりも張りが出た感じだ。
極端なウェイトシフトやアウトブレーキングを必要とされることもない。ブレーク操作に合わせたウェイトシフトから生まれるターンは、ノーズをキョロキョロ変えて運動性をよく見せるような小手先のテクニックではない。誰もがスムーズなターンを行なうことができるのだ。
大きなスタビライザーからくる深いタイトな旋回や、スパイラル状態で翼端の不安定さやバランスの崩れによる翼端の潰れといったものは無く、翼端を眺めながらターンしていても不安感は一切なく仕上がっている。
翼端折りは、そのパートのライザー全体を引き込めば簡単にビッグイヤーを行うことができる。フライトのポジションを変えることなく、ハーネスに入ったままビッグイヤーができるのだ。もちろん2本しかないラインの1本を引き十分な面積を失うことで、必要なだけの大きな沈下を伴うことができる。

最後に

信じられないライン本数をバランスよく配置したシンタックスは、一言で言えば、フライト中のあらゆる場面の中を、特別な技術を必要とせず乗り越えることができる、非常にイージーなコントロール性と滑空性能を併せ持ったグライダーということになる。多くのパイロットに試して欲しいグライダーであり、絶対的な自信を持って勧めることのできるグライダーである。

（REPORT/Masato SOGABE）