NOVA

SECTOR

XCフライトを目指すあなたの
最良のパートナー

少ないラインで構成されたブレークセットがもたらした滑空性能
反応の良い短めのブレークストロークがもたらす良好な旋回特性
そしてアスペクトレシオを抑えたことで生まれた安心感と安定感
本気で記録を狙うためのXCウイングがセクターだ！

最良のXCコンディションに日にセクターを！

「For Perfect day」セクターのキャッチフレーズだ。その意味は「記録が狙えるパーフェクトなコンディションの日こそセクターの真価が発揮される」ということだと想像できる。ロースペックハイパフォーマンスを提唱するNOVAが満を喫して発売した、アスペクトレシオ5.92、67セルのEN/Cクラスはどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。 　重量4.1?でとても小さくパッキングされているセクターSを開いて見ると、リーディングエッジと上面には通常のリップストップ、下面には大きな格子の軽量リップストップが使用されており、耐久性と軽量を考慮した仕様になっている。プラスチックロッドはリーディングエッジの形状を保つためにのみ採用。これにより翼の重さは軽減され、パッキングに気を遣うこともなさそうだ。なんの変哲もないまっすぐなエアインテークから中を覗いてみると、ニードルアイの複雑な構造（99セルで軽量を実現したファントムの内部構造と同様）のダイアゴナルリブが組み込まれており、4.1?の軽い仕上がりとなっているのが納得できる。

ライズアップと共に生まれる強烈なリフト

2本に分かれているAライザーの前側1本でライズアップすることで、インフレーションは翼の全体へ自然に始まるが、頭上安定を正確に完了させるためにはライザーの引き込み具合に注意が必要だ。ラインアタッチメントポイントはA,B,C（Dがない）構造のためAとB、BとCの間隔が広く、ライザーを引き込みすぎると翼のひずみが生じ、エアーの充填が不十分のまま頭上に達するので、引き込みは最小限にするとよいだろう。
またメインブレークコードの長さが短めの設定のため、ブレークコードが翼に作用しないよう臀部を突き出した姿勢のリバースライズアップをお勧めする。紀の川フライトパークの奥野インストラクターにライズアップを試してもらったが、とても強い揚力を感ずる機体で、河川敷でのライズアップからの加速で3mも対地高度が取れるグライダーは過去10年間巡り合っていないとの好評価を受けた。

高速グライドで加速感を味わう

荒れたコンディションでは、翼を安定させるため左右のブレークコードを頻繁に操作するアクティブ操作が必須なのはCクラスのグライダーでは当然のことだが、その中でも短い引き量で翼をサーマルへロールインさせることができるのでストレスはない。
セクターの特徴は何といっても速度の出しやすさと、その時の安定性能、滑空性能の良さがあげられる。キャノピーのアタッチメントポイントがA、B、Cのみということで、アクセルを踏んだ時の加速感は素晴らしい。ハーフアクセルでのトランジットは、翼が潰れるような兆候はなく滑空角の変化も少ないのでヘッドウインドでのグライディングでは理論通り速度を出したほうがよさそうだ。

サマリー

セクターは、ロースペックハイパフォーマンスのカテゴリーのEN/Cグライダーといってよいだろう。飛行中の安心感は絶大で、Bクラスからのステップアップには最適なチョイスとなる。また、スピードTOフライなどの飛行技術を身に着けるためのポテンシャルは非常に高く、リスクなく良い経験を積むことのできる機体ともいえる。
耐久性の高いファブリックを使っているにもかかわらず、ハイク＆フライに使えるほどの軽量に仕上げられていることも特筆できることであり、ハイクアップからFAIトライアングル記録更新まで、オールラウンドに活躍できるグライダーとして選んでもらって間違いのない1機に仕上がっている。

REPORT：Kaoru OGISAWA