ギア・インプレッション

RA

NOVA

RA

マイルドな操作感と
ワンランク上の高性能を実現した
次世代クラス2

TYCOON、ROOKIEに続き、またもやNOVAが革新的なパラグライダーをリリースした。精度の高いコンピューターシミュレーションと、創生期から携わるテストパイロットの協力によって実現した機体は、どんな性能を秘めているのか。

開発・コンセプト

ラーの開発コンセプトは、全く新しいDHV2の翼を作り上げることにあった。デザイナーのハーネス・パペッシュは「タイクーンと同じパフォーマンスを持ち、ダイナミックなハンドリングで、もちろん、より安全性を加えたものを意味する。そのゴールを目指すためにはタトゥーをマイナーチェンジするのではなく、まったく新しい機体をデザインすることを選択したんだ」とコメントしている。
この新しいデザインの特徴の鍵は、高いフラットアスペクトレシオ、極度に減らしたライン配置にある。コンピュータシミュレーションでできあがった最初のプロトタイプは予想以上の出来で、そのために、性能比較するグライダーを、タトゥーではなくタイクーンに変えたということだ。

フライト

同様、それぞれ2本ずつ。Mサイズはトータルライン長がたったの286mしかなく、タトゥーと比べて100mも少ない。また、アッパーラインに0.6mmの最新のダイニーマラインを使用して有害抗力を減らしている。
テイクオフは、アスペクト比が6もあるようには思えないほど、素直な立ち上がりを実現している。直線飛行に入ると、トリムスピード時にはライン配置の優位性はあまりないように思えたが、少しアクセルを踏むだけでとてもスムーズに滑空し、と同時に滑空性能も良くなったことが感じ取れる。
様々なサーマルコンディションでフライトを試みたが、特に荒れたサーマルの中で、ラーはその旋回性能をいかんなく発揮してくれた。幾度となくサーマルから弾き出されそうになっても、少しブレーク操作を加えることで、外へ滑ることなくサーマルにとどまることができる。スピード、バンク角のコントロールのしやすさは、山際の弱いサーマルで回し続けるような場合でもパイロットにストレスを与えない。
続いて降下手段。2本のAラインのうち、外側1本を引き込むと両翼端が大きく折れる。折れる部分は大きいが、少ないライン配置が効いているため、維持、離脱の際にストールするような感覚を感じることがない。
次に、まずはDHVのテスト方法同様にゆっくりと−14m/sのスパイラルへと導入していく。導入後、すぐにフルリリースし翼の様子を見る。旋回は2周ほど持続するが加速傾向はない。ウエイトシフトともに1周で導入させてみるが、Gを感じると同時にスパイラルの沈下速度をコントロールできる。少しのブレーク操作で加速、減速のコントロールができ、離脱も容易だ。すでにスパイラルをしているパイロットであればこの容易さはすぐに感じ取れることだろう。
ラーは結果的に、予想以上のパラグライダーとして仕上がっている。非常にゆっくりでソフトなマヌーバー特性を持っているだけでなく、タイクーンに肉薄する上昇性能と繊細なタッチで行える旋回能力、そして低速域までの翼の粘りを実現。これはまさに次世代のクラス2だ。

(REPORT:Naohisa OKADA/KIDS SPORTS)

SPEC INFORMATION

サイズ XS S M L
ズームファクター 0.888 0.932 0.975 1.016
セル数 62 62 62 62
翼面積(投影)㎡ 19.23 21.18 23.18 25.17
翼面積(実測)㎡ 22.52 24.81 27.15 29.48
翼幅(投影)m 9.10 9.55 10.0 10.41
翼幅(実測)m 11.63 12.20 12.77 13.30
アスペクト比(投影) 4.3 4.3 4.3 4.3
アスペクト比(実測) 6.0 6.0 6.0 6.0
ライン径 mm 0.6/1.2/1.85 0.6/1.2/1.85 0.6/1.2/1.85 0.6/1.2/1.85
ライン高 m 6.93 7.27 7.60 7.92
ライン全長 m 260 273 286 298
最大コード長 m 2.44 2.56 2.68 2.79
最小コード長 m 0.31 0.32 0.34 0.35
機体重量 kg 5.0 5.5 6.0 6.5
飛行重量 kg 65-85 80-100 90-112 100-130
速度(MIN/MAX/TRIM)km/h
沈下率
L/D
安全規格(DHV/AFNOR) (2/std) (2/std) 2/(std) (2/std)
価格(税込) ¥514,500 ¥514,500 ¥514,500 ¥514,500

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2007年4月号掲載)