ギア・インプレッション

PRIMAX

NOVA

PRIMAX

改良を重ねて生まれた
超安定・安全グライダー

ノバ社からリリースされたプリマックスとは、一体どんなグライダーなのか? 同社ラインナップには既にフィルー、フォーラス、フェロンというDHV-1を取得したグライダーが存在するのに何故、また新たにクラス1なのか?

プランフォーム

プリマックスの作りは、先に発表されたシンタックスと似た構成になっている。キャノピーには2インターナルリブ+1ダイアゴナルリブによる構成。各リブには大型のマイラーが縫いつけられたインテークは大きくとられていて、エアーの入りも良好だ。ライン構成も同じく4本ライザーで2、3、2、2のライン構成。非常に少ないライン構成は同社の得意とするところだろう。

ライズアップ

ライズアップ時、3m程度の良い風が入っている場合には、2本に分かれたAライザーに接続された各1本のラインのうち内側1本だけを持ったライズアップでも問題ない。ただし片側2本のAライザーをもってライズアップした方が、センターから翼端に向けて空気の入りも良くスムーズなライズアップに繋がるだろう。細いライザーを使っているので手の小さな女性でも大丈夫な筈だ。
風の強い時にセンター部分だけを持ってライズアップを試してみると、翼型が崩れることもなく問題なく頭上に上がった。フィルー程自立安定の優れたグライダーはないのではないかと思っていたが、プリマックスも同レベルの性能を持っている。荷重をかけて助走に入る際にフィルーは最初の動き始めが遅いのに対して、プリマックスはスムーズに動き始める点も扱いやすいだろう。

ハンドリング

ブレーク引き始めは軽めの設定で引くほどに重くなってゆく感じは好印象だ。引き始めのグライダーの動きはゆっくりだが、バンクがかかり始めるのと同時に動きは良くなってくる。講習生でも少しの動きでターンを始め、ブレーク操作の増加でよりターンを切れの良いものにしてゆける。アクティブにフライトするつもりなら、ブレークコードを大きく使ってフライトすればブレーク量に応じた旋回を見せ、より運動性の良い状態に変化する。  フィルーは確立された安全性で多くのインストラクターたちに支持されてきたが、講習カリキュラムの中のピッチングやローリングの練習では、自立安定感の強さから逆に練習が難しくなってしまった。プリマックスはより安全性能も確立された上に、こういった練習課題の習得にも適したグライダーではないだろうか。

ランディング

ランディングアプローチからフレアーに移行する際、ハーフブレークからフルブレークへのプレッシャーが今までにない、何ともいえない手応えを伝えてくる。ハーフブレークによって低速になった状態からのフルブレークでの揚力の発生は、安全面に大きく貢献するだろう。
以前ならば、アプローチの高度が高く、ハーフブレークで大きく沈下しながらランディングに入ってきた時にフルブレークをしても、十分な揚力発生が得られずに転倒することが多かったと思う。プリマックスなら、ゆっくりとした大きなブレーク操作を心がけさえすれば、初級レベルのパイロットにとってもインストラクターにとってもそんな心配はいらないはずだ。

総評

ノバ社が完璧を求めて仕上げたプリマックスは、「ファーストグライダーとしては飛び過ぎる」といったインストラクターの心配を払拭するトータルバランスを持ち合わせた、パーフェクトなパラグライダーだ。DHV1を取得しただけでも素晴らしいのに、そのカテゴリーの中での最高のパフォーマンスが詰め込んで生まれているのだ。

(REPORT:Masato Sogabe)

SPEC INFORMATION

サイズ XXS XS S M L
セル数 28+8 28+8 28+8 28+8 28+8
翼面積(投影)㎡ 19.23 21.19 23.3 25.3 27.11
翼面積(実測)㎡
翼幅(投影)m 7.99 8.36 8.77 9.14 9.46
翼幅(実測)m
アスペクト比(投影) 3.3 3.3 3.3 3.3 3.3
アスペクト比(実測)
機体重量 kg5.2 5.6 6.0 6.5 7
飛行重量 kg 55~75 65~85 75~100 85~110 100~130
速度(MIN/MAX/TRIM)km/h -/50/37 -/50/37 -/50/37 -/50/37 -/50/37
安全規格(DHV/AFNOR) 1/STD 1/STD 1/STD 1/STD 1/ST
価格(税込) ¥388,500 ¥388,500 ¥388,500 ¥388,500 ¥388,500

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2005年2月号掲載)