ギア・インプレッション


ION5

NOVA

ION5

イオン5の新しい伝説が始まる

良いものをさらに良くする
イオン4を越えることを目標に開発
軽量コンパクト、パフォーマンスの向上
そして高い安全性を磨き上げ
心地よいハンドリングを進化させた

耐久性の高い最新素材とパッキングボリューム

ノバのハイエンドBメンターシリーズがクラスのベンチマークと言われるのと同様に、イオンシリーズでもイオン4はベストセラーを記録しスタンダードBクラスのベンチマークとなった。イオン5はイオン4の発展型で、素材を変更しウイングチップに独立したセルを組み込んだのが主な変更点だ。セミライト仕様のイオン5には、トップサーフェース、ボトムサーフェース共に格子の大きいリップストップのDominico 20D、 33 g/m2を採用、手触りがつるつるのコーティングが施され耐久性を高めているのではないかと思われる。
Sサイズの機体重量は4.65kgと、35gの生地が使われていたイオン4と同じだが、パッキングボリュームは小さくなり、ハイク&フライに使ってもかさばらないのがいい。イオンシリーズに求められる、絶対的な安全性と快適な乗り心地はいかなるものなのか。入荷したばかりの、イオン5のSサイズを春のエアパークCOOで試乗してみた。

完全な3ラインコンセプトと高い頭上安定性

グライダーを開いてみると、ライン取り付け箇所はコード方向にA、B、Cのみで、Dの吊り下げポイントはなく完全な3ラインコンセプトだ。これはアスペクトレシオの大きなDクラスのグライダーに使われるが、アスペクトレシオが小さめのグライダーで使われるのは珍しい。
完全なA、B、Cラインコンセプトのグライダーでは、経験上ライズアップの時にライザーを長めに余して持った方が良いことが多く、イオン5のライズアップでもAライザーに巻いてある赤いテープの中間より下を握る程度で試してみた。片側2本あるAライザーを1本ずつ持ちライズアップしてみたが、程よいテンションでキャノピーのインフレーションが始まるのでライザーは1本持つだけで大丈夫だ。
ブレークコードは遊びの少ないセッティングだが、グリップに手首を通したライズアップでキャノピーの上りは良く、オーバーシュートすることもなく頭上安定が完了するのは軽いグライダーならではの取り扱いやすさだ。

向上したグライドパフォーマンスを楽しむ

サーマルの中で、あえてノーブレークで直線飛行を試みてみたが、ピッチ、ロール、ヨー方向の程よい安定感で、左右前後に揺れることがない。サーマルセンターリングの入り(ロールイン)は、短いストロークで容易にバンクがかかり、バンクを戻してサーマルのコアに近づこうとする動作時(ロールアウトの時)には自立安定が強すぎる傾向もない。スタンダードBクラスで感じることの多いストレスは、まったくないのだ。
アクセルバーを踏んだ時のなめらかさと加速感は3ラインコンセプトの成果だろう。一般的にはサーマルからの離脱が遅れ、先行したグライダーを高速で追いかけると高度は損失するものだが、追いついたときの高度は同等で、イオン5の高速性能の良さには仰天だった。イオン5にはスピードブレークライザーを取り付けることができるが、スピードtoフライなど、サーマル飛行のテクニックを学びたいときは、さらに性能を引き出すことができる面白いオプションになるだろう。

サマリー

イオン5は、ハンドリング、ハンドリングプレッシャー、安定性、高速性能などイオン4からの進化を存分に感じることができる。サーマルソアリングでステップアップを目指すパイロットにとって、安心して空を攻めることのできるグライダーといってよいだろう。

(REPORT:Kaoru OGISAWA)

SPEC INFORMATION

サイズ XXSXSSML
セル数 5151515151
翼面積(投影)㎡ 18.5220.5122.4924.5126.52
翼面積(展開)㎡ 22.0624.3126.6929.1231.44
スパン(投影)m 8.078.508.909.299.66
スパン(展開)m 10.6711.2211.7412.2612.74
アスペクト比(投影) 3.523.523.523.523.52
アスペクト比(展開) 5.165.165.165.165.4
飛行重量 kg 55-8070-9080-10090-110100-130
機体重量 kg 3.954.304.654.955.25
安全規格(LTF/EN) BBBBB
価格(税別) ¥490,000¥490,000¥490,000¥490,000¥490,000

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp

2018年8月号掲載)