ギア・インプレッション

ION4

NOVA

ION4

Performance for All

ローアスペクトレシオ+ハイパフォーマンス。乗りやすいローアスペクトにも関わらず、サーマルコアを確実にキャッチする。抜群のハンドリング、上昇率、フルスピード時の滑空性能、アクセル使用時の加速感…これ以上望むものがあるだろうか?

画期的なスマートセル

イオン4はシリアルクラス初となる300kmのトライアングルフライトを達成するなど、ワールドXCコンテストでも存在感を高めている。日本に届いたばかりのイオン4(Mサイズ)を早速テストした。空中でキャノピーを見上げてみると、荷重に応じ最適化された「スマートセル」が透けて見える。
ずんぐりしたアスペクトレシオ3.44(Mサイズで最大コード2.95m)にも関わらず、吊り下げポイントが前後にA.B.C.の3点しかないのには驚かされる。通常はDのアッパーラインをCのメインラインに組み込むが、「スマートセル」によりDポイントを省いても翼に安定感を出すことができる。その結果、ラインによる有害効力削減に加えアクセルを踏んだ時の加速感と安定した滑空性能をイオン4に与えることに成功した。

エアスクーププロファイルとスマートブレーク

大きなエアーインテイクの効果もあり、ライズアップ時空気を捕らえるときの手ごたえが良く、フロント・リバース共にライズアップは軽い。ライズアップ時は、Aライザーを引き込み過ぎないようライズアップするほうが余計なシューティングを避けることができ、ライザーを握る位置などで調整してもらいたい。
頭上安定をしっかり行った後に加速する段階で、スタックすることなく前方に進む傾向があり、テイクオフ時の浮き出し感をよくしてくれている。頭上安定は重量が軽い仕上がりの影響か、他のグライダーに比べ長く保てるようなので、テイクオフ時のミスは軽減されるだろう。
キャノピーがサーマルを捕らえる感じは、ハイエンドBクラスのメンター4譲りだ。ぐいぐいサーマルを捕らえていく感触は、正確なセンターリングを行うためには良好なものだ。ターンは決してノーズが下に向き過ぎることなく、切れすぎずに向きを変える特性で高度ロスは最小限。この小気味よい旋回特性は、ノバ社がアピールするスマートブレークなのだ。積極的にサーマルを捕らえてくれる特性でもアグレッシブではなく、翼から伝わる安心感はイージーBを正しく継承している。
長いブレースストロークを持ち、ブレークグリップを握ったままビッグイヤー時にスプリットAライザーを思い切って引いてもストールする傾向は全くなく安心だ。Bストールも同様、ブレークグリップを握ったままゆっくりとBライザーを引き下ろすことで大きな沈下率を得ることができる。
アクセルを踏んだ時の加速感と伸びの良さ、1段目のバーでは踏み切れない引きしろの長さに驚かされた。2段目のバーを踏み込み込んだ時の妙な安心感は、アスペクトレシオの小さい翼だから感じ取れる感覚なのだろう。

イオンはイオン

ローアスペクト+ハイパフォーマンスの発展形として、メンターシリーズのパフォーマンスを持ちながら安全に空を楽しむためのアイテムに仕上げられたのがイオン4なのだ。
ホームエリアでのフリーフライト、気ままにハイクアンドフライ、ちょっと気合を入れた山岳地帯でのプチアドベンチャーフライト、そしてXCコンテストシリアルクラスでの記録狙いにも使えるオールラウンドな翼。空には様々な楽しみ方があるが、気軽にイオン4を手にしてみよう。「イオンはイオンなのだから」

(REPORT:Kaoru Ogisawa)

SPEC INFORMATION

サイズ XXS XS S M L
セル数 49 49 49 49 49
翼面積(投影)㎡ 18.65 20.65 22.57 24.62 26.81
翼面積(実測)㎡ 22.06 24.31 26.69 29.12 31.74
翼幅(投影)m 8.02 8.44 8.82 9.22 9.62
翼幅(実測)m 10.65 11.21 11.72 12.24 12.78
アスペクト比(投影) 3.44 3.44 3.44 3.44 3.44
アスペクト比(実測) 5.14 5.14 5.14 5.14 5.14
飛行重量 kg 55-80 70-90 80-100 90-110 100-130
機体重量 kg 3.95 4.30 4.65 4.95 5.30
安全規格(EN) BBB BB
価格(税別) ¥490,000¥490,000¥490,000¥490,000¥490,000

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

2016年8月号掲載)