ギア・インプレッション

ION3

NOVA

ION3

Performance For All

新しくNOVAチーフデザイナーとなったフィリップ・メディカスは、同社創設からのデザイナー、ハーネス・パペシュと共にMnetor3を開発する中で、NOVAのグライダー開発コンセプトを引き継いだ。そしてこのたび発表されたION 3には、新生NOVAを印象付ける、革新的なアイデアが組み込まれた。

イオン3のコンセプト ―簡潔化と革新―

2004年のシンタックスから受け継がれてきた2メインラインコンセプトだが、イオン3はメインラインが3本。これはセル数の増加に伴い、ラインの最適化が図られたためだ。  リーディングエッジには、メンター3で実績のあるダブル3Dシェイピング。また、エアスクープと呼ばれるエアインテークは、プラスチックバテンとマイラー素材によって効果的に補強され、ライズアップ時のスムーズなインフレーションと飛行中の翼内圧の最適化を可能にした。
そして革新的なのが、セル幅が不均等になっている、スマートセルと呼ばれる新技術だ。ライン、ダイアゴナルリブ配置により、各セルにかかる荷重を計算し、セル幅を決定。翼にかかる荷重を効果的に分散することで、乱流内での翼の安定化とコラップス後のより穏やかな回復挙動が可能となった。

フライトインプレッション

スムーズなインフレーションからグライダーは素直に頭上に安定しようとする。ライズアップは、A1、A2が取り付けてあるライザーのみを持つことで十分だ。グライダーを目視しなくても、上がっている具合を容易にイメージすることができる。深いブレークストロークを使ってもグライダーがストールすることはない。最終判断に余裕が生まれ、テイクオフ時のアクシデントを大きく軽減してくれることだろう。  テイクオフし、突き上げるようなサーマルに入りロールイン。イオン2と比べ、旋回の初動からしっかりとしたバンクを伴い上昇風に切り込んでいくような感じだ。深いブレークストロークを使っても必要以上にバンクはかからない。特に荒れたサーマル中でコアを外した際に感じる、フッと空気が抜ける感覚が全く感じられなかった。
ブレークコードを引いた分、グライダーは素直に向きを変えてくれる。素直なロールインと共に、ターン終了に伴うロールダンピングが少なく、旋回離脱の方向を正確にトレースでき、スクール教程にある課題練習においても扱いやすい。
ビッグイヤーはA3ライザーを引きこむことで簡単に行え、また引き込んだA3ライザーをリリースするだけで翼は自ら復元する。
いくつかの新たに採用された革新的なテクノロジーの恩恵か、巡航スピードはイオン2に比べ、やや速いにように感じる。ノバは、ハイエンドEN-Bとしてベストセラーとなったメンター2と同等の滑空性能を引き出すことに成功したと発表している。

すべてのパイロットのために

イオン3のコンセプトは、「すべてのパイロットのための翼」。前モデルイオン2は限りなくEN-Aに近いモデルであったが、イオン3は、スタンダードEN-Bとして若干高い位置づけに変更されている。EN-Aからの2機目への乗り換えとしての選択にも最適で、その場合、日本のコンディションにおいては、装備重量真ん中、またはやや軽めでのサイズチョイスをお勧めする。
XXSサイズは55?からの飛行重量範囲を可能にしている。ぜひ、軽量な日本の女子パイロットにイオン3のパフォーマンスを楽しんでいただきたい。

(REPORT: Ayumu MIYATA)

SPEC INFORMATION

サイズ XXS XS S M L
セル数 49 49 49 49 49
翼面積(投影)㎡ 18.56 20.65 22.58 24.63 26.82
翼面積(実測)㎡ 22.1 24.59 26.99 29.44 32.06
翼幅(投影)m 8.17 8.62 8.99 9.39 9.8
翼幅(実測)m 10.61 11.19 11.73 12.25 12.78
アスペクト比(投影) 3.58 3.58 3.58 3.58 3.58
アスペクト比(実測) 5.09 5.09 5.09 5.09 5.09
飛行重量 kg 55-80 70-90 80-100 90-110 100-130
機体重量 kg 4.9 5.3 5.7 6.1 6.5
安全規格(EN) BBB BB
価格(税別) ¥490,000¥490,000¥490,000¥490,000¥490,000

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

2014年08月号掲載)