
NOVA
ION 2 LIGHT
パフォーマンスと耐久性を犠牲にしない
軽量オールラウンダー機
2012年度世界各国でブレイクしたION2。その人気の要因は、パッキングなど地上での取り扱いやすさ、テイクオフの容易さ、空中での安定感、200kmを超すトライアングルを達成した高性能、そしていざという時のビッグイヤーの効率の良さ。この秋発売されたION2 LIGHTのコンセプトは、超軽量素材の使用を避けての軽量化と、ラインとライザーを細くしたことでの高性能化である。
徹底した軽量化と耐久性の両立
今回はXXSサイズに搭載重量上限の荷重での試乗。グライダーを取り出してみるとXXSサイズということを考慮しても、とても小さくパッキングされているのが印象的だ。カタログデータでイオン2と比較すると、XXSサイズで4.9kgが3.9kgとなっている。
ライザーのウェビングは20mmから12mmに変更。アッパーラインのダイニーマラインは被覆のないものに変更され、またノバ特有のベクトルバンドの幅が半分ほどに。さらにプロファイルのサイドベントホール(クロスポート)が大きくなり、劣化が進みにくい素材を使用しながらも、徹底した軽量化でライトバージョンが完成している。
風になじむパフォーマンス
合計14本の少ないメインラインなので強風の中でもトラブルなくラインをさばくことができた。強風の中でグライダーを暴れないようにしておくときは、Cライザーを使用すると良い。
テイクオフすると強風の中を突き抜けるようなガストにたびたび遭遇するが、イオン2ライトはそのガストを吸収するような感じで自立安定してくれる。試しにフルアクセルで風に向かってみるが、安定した滑空とペネトレーションには驚かされる。エアインテークの下面側を2重構造とすることで、高速飛行時のフラッター(翼の振動)を防ぐ効果があるベクトルバンドは、イオン2に比べて半分ほどの幅となっているが、強風+乱気流のリアルなコンディションでの高速飛行でも、翼のフラッターはほとんど感じなかった。高速飛行時の安定した飛行特性に効果を示しているようだ。
マヌーバビリティと降下手段
イオン2ライトは、イオン2以上のマヌーバビリティ(操作性)を持つ感じだ。キャノピーに対してパイロットのぶら下がっている位置(全高)がちょうど良い感じで、ピッチング、ローリングからウイングオーバーまでの操作性は非常に良く、揺れているあいだ良好な遠心力を感じることができる。
ノバが長年取り組んできた、スパン方向にAラインが片翼2本のコンセプトは、ビッグイヤーでの降下で絶大な効果を発揮する。発売以来ベストセラーとなっているイオン2の人気の一端は、単にハイパフォーマンスということだけではなく、いざというときにいち早く地上に生還できる手段を有することにもあるのを実感した。
サマリー
イオン2ライトはパラグライダーの原点であるハイク&フライはもちろんのこと、クロスカントリー飛行を十分に楽しめるオールラウンドなグライダーとして位置づけして良いだろう。ソアリングを始めたばかりのパイロットから、リアルなクロスカントリー飛行に出かけるパイロットまで、イオン2ライトは多くのパイロットニーズに応えたハーネス・パペシュの会心作である。
(REPORT: Kaoru OGISAWA)
SPEC INFORMATION
サイズ | XXS | XS | S | M | L |
セル数 | 45 | 45 | 45 | 45 | 45 |
翼面積(投影)㎡ | 19.05 | 21.06 | 22.94 | 24.88 | 26.92 |
翼面積(実測)㎡ | 22.67 | 25.05 | 27.28 | 29.60 | 32.02 |
翼幅(投影)m | 8.23 | 8.65 | 9.06 | 9.40 | 9.78 |
翼幅(実測)m | 10.77 | 11.33 | 11.82 | 12.31 | 12.80 |
アスペクト比(投影) | 3.55 | 3.55 | 3.55 | 3.55 | 3.55 |
アスペクト比(実測) | 5.12 | 5.12 | 5.12 | 5.12 | 5.12 |
飛行重量 kg | 60-80 | 70-80 | 80-100 | 90-110 | 100-130 |
機体重量 kg | 3.9 | 4.2 | 4.5 | 4.8 | 5.1 |
安全規格(EN) | (B) | B | B | B | (B) |
価格(税込) | ¥430,500 | ¥430,500 | ¥430,500 | ¥430,500 | ¥430,500 |
[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/