ギア・インプレッション

ION2

NOVA

ION2

Simple&Easy!
ソアリングを教えてくれる翼

スタンダードEN-BとしてベストセラーとなったIONの後継機、ION 2がリリースされた。今春、ヨーロッパでのXCコンテストにおいて186kmのFAIトライアングルフライトを達成、安全性だけでなく、そのパフォーマンスでも注目を集めている。

進化を遂げたNOVAラインコンセプト

メインラインがそれぞれ2本構成となるNOVA特有のラインコンセプトは、イオン2でさらにA、B、Cの3列ラインコンセプトとして進化を遂げた。
グライダーを広げた第一印象はやはり、ラインがシンプルで少ない!! ABCの3列コンセプトに加え、メインラインはそれぞれ2本ずつ。片側なんと8本しかラインがないことになる。当然ながらチェックはラインを裁くだけで、簡単に終わってしまった。
平面形においてはほとんど変更ないが、Dラインがなく、さらなライン本数の減少のため、セル数は37から45へと変更され、翼の剛性を高めている。リーディングエッジはポリマーロッドで補強され、パフォーマンスの向上と軽量化に大きく寄与している。

フライトインプレッション

テイクオフの風は3m/s。まずはスムーズなインフレーションからグライダーは素直に頭上に安定しようとする。余計なストロークは必要なく、グライダーが上がってくる間、揚力はしっかりとパイロットに伝わってくる。スクール生はグライダーを目視しなくても上がっている具合を容易にイメージすることができるだろう。
引き始めにおけるブレークプレッシャーは軽い。ところが、ストロークが深くなるにつれてしっかりした重さに変わってくる。トレーディングエッジのReefing Systemにより、最初のロールインが軽くスムーズになったため、ターンは軽快に感じることだろう。
バンクを伴わないフラットな旋回特性を示し、ブレークコード引いた分グライダーは素直に向きを変えてくれるため、サーマル内での上昇も効率良く行なえることとなる。素直なロールインと共に、ターン終了に伴うロールダンピングが少なく、旋回離脱の方向を正確にトレースでき、スクール教程にある旋回の練習には最適の練習機といえる。
高度が獲得できたところで、一般的な承認テスト内容のマヌーバーを行った。潰れからの回復はとても穏やかで、ゆっくり。ソアリングを覚え始め、乱れた空域でのフライト経験が少ないパイロットにも、安心のフライトを約束してくれるだろう。
また、幅広いスピードレンジにより、ランディングはより安全に安心感をもって行なうことができる。
マヌーバー動画
http://www.aerotact.co.jp/paraglider/nova/ion2/index.shtml

サマリー

幅広いLTF1カテゴリーにおいて、イオン2は限りなくLTF1-2に近いモデルとなっている。初級機からの2機目への乗り換えとして、ソアリング技術を学ぶには最適なグライダーである。
シンプル、そしてイージー。パラグライダー本来の楽しさを求めるノバの答えがイオン2だ。日本のフライトコンディションにおいては、装備重量真ん中またはやや軽めでのサイズチョイスをお勧めする。また、ファングライダーとしてのんびり空を楽しみたいパイロットにもお勧めの一機といえるだろう。

(REPORT: Ayumu MIYATA)

SPEC INFORMATION

サイズ XXS XS S M L
セル数 45 45 45 45 45
翼面積(投影)㎡ 19.05 21.06 22.94 24.88 26.92
翼面積(実測)㎡
翼幅(投影)m 8.23 8.65 9.06 9.4 9.78
翼幅(実測)m
アスペクト比(投影) 3.55 3.55 3.55 3.55 3.55
アスペクト比(実測)
全高 m 6.3 6.62 6.91 7.2 7.49
ライン全長 m 197 207 216 225 234
コード(max/min) m 2.63/0.65 2.76/0.68 2.88/0.71 3/0.74 3.12/0.77
飛行総重量 kg 60-80 70-90 80-100 90-110 100-130
機体重量 kg 4.9 5.3 5.7 6.1 6.5
安全規格(LTF/EN) 1/B 1/B 1/B 1/B 1/B
価格(税込) ¥430,500 ¥430,500¥430,500 ¥430,500¥430,500

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

2012年6月号掲載)