ギア・インプレッション

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ハーネス・パペシュの自信作!
ハイパフォーマンスを誇るLTFクラス2

ノバのデザイナー、ハーネス・パペシュは、パラグライダー界の三大デザイナーの一人。コンピュータープログラムに長けていて、さまざまな飛行解析ソフトを開発している。ノバの強力な開発チームが蓄積した過去20年あまりのテストフライトデータを確実に解析し、完成された「ファクター」。パペシュから届いた開発ヒストリーを読むと、その完成度の高さに彼の自信がうかがえる。

テイクオフ、直線飛行

テスト当日は強風、早速ライズアップしてみる。風の強さの割には全くと言っていいほど重さを感じないままに頭上安定完了。しばらくカイティングとも思ったが、翼がいかにも飛べる雰囲気を醸し出すのでテイクオフしてみる。滑らかな浮き出しは、風の強さ、ガストの強さを全く感じさせず、素晴らしい安定感を見せた。
同様に、直線飛行でもスタックすることのない特性を感じられた。普通であればノーズアップののちピッチダウンしてしまいそうな強いガストでも、ピッチ方向の動きは最小にとどまり、ガストに乗って上昇しながら滑空していく。翼自体が風の変化に対応してくれる効果を持っているようだ。ヘッドウインド、テールウインド、リフト、シンク等、気流の変化にうまく乗りこんでいく翼に乗ると、これほどまでに滑らかに直線飛行を楽しめるものかと、いまさらながら感動してしまった。

ドリング、アクセレーション

この翼の最大の特徴は、サーマルによる気流の変化を滑らかに、手に取るようにサーチしていく特性である。翼がサーマルをサーチしてくれるので、あまり翼の動きに逆らわないように操縦し、翼を気流に乗せていくようにセンタリングを繰り返すこと。これを繰り返していると、いつの間にかガーグルから抜け出しサーマルトップに躍り出ているという、魔法のような翼である。
パペシュのレポートには「カタログデータだけのためのハイスピードは全く意味がない」とある。そこでフルスピードを試してみると…感動的! ファーストステップまでスムーズに加速し、セカンドステップでフルスピードに達するが、翼からは全く振動(フラッター)を感じない。プラス15km/hは十分な速度増加、しかも素晴らしい滑空比を保ったままフルスピードまで達するのだ。
浅いポーラーカーブを持つファクターの滑空性能と、アクセレーターのタイムタグのない加速感、速度を出した時の安定感をもってすれば、風に応じたベストグライド速度を得やすく、コンディションによってはスピードtoフライの極意を味わえると感じた。

NEWアイデア

●ベクトルバンド:エアインテーク下面にベクトルバンドが施してあり、飛行中その箇所がラム圧で膨らみボリュームを持たせることで、フラッター対策として功を奏しているようだ。直線飛行時の安定性、特に高速時の安定感がこのシステムで得られている。
●ハイアーチ:ピッチ方向の安定性、翼が潰れた時に急激なローテーションが起きない安全性、上昇率の良い旋回性に寄与。パペシュは、ハンドリングが良くなったと絶賛している。
●サマリー:より高く、より遠くへ飛んでいくこと。そのために必要な飛行技術を習得し、確実な経験を積みたいあなたなら、この翼を選んでみよう。鳥のように、感覚的に上昇気流を捉え、そしてそのありかを探しに行くこと、さらにびっくりするぐらいの遠くへ飛んでいくこと。そのために必要な翼がここに完成したようだ。

(REPORT: Kaoru OGISAWA)

SPEC INFORMATION

サイズ XS(19) S(21) M(23) L(25)
セル数 61 61 61 61
翼面積(投影)㎡ 18.98 21 23 24.96
翼面積(実測)㎡ 22.6 25.03 27.39 29.75
翼幅(投影)m 9.04 9.51 9.95 10.37
翼幅(実測)m 11.64 12.24 12.81 13.35
アスペクト比(投影) 4.3 4.3 4.3 4.3
アスペクト比(実測) 6.0 6.0 6.0 6.0
ライン直径 mm 0.6/ 1 / 1.15 / 1.3 / 1.4
ライン長 m 6.67 7,02 7.34 7.65
ライン全長 m 321 337 354 369
コード m 2.44 2.55 2.68 2.8
ディップ m 0.63 0.66 0.69 0.72
機体重量 kg 5 5.5 6 6.5
飛行重量 kg 70-90 80-105 90-115 100-130
安全規格(LTF/EN) (2/C) 2/C 2/C (2/C)
価格(税込) ¥535,500 ¥535,500 ¥535,500 ¥535,500

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2008年12月号掲載)