ギア・インプレッション

BION

NOVA

BION

現場からのフィードバックにより完成した、
コンパクトでイージーなタンデムグライダー

プロタンデムパイロットだけでなく、レクリエーションパイロットからのリクエストを取り入れて完成されたBION。低いアスペクトレシオと短いライン長、そして小さな翼面積が特徴的だ。この特性によって安定性はもとよりライズアップの際のインフレーション、そして自由自在なハンドリングを実現させることとなった。

ラインコンセプトとマテリアル

バイオン(Bi-ION)という名ではあるが、プランフォームはEN-B「イオン」とは全く別物であった。ABCDの4列ラインで、ボトムは安心感のあるオーソドックスな3本ラインを採用。ラインバランスを見直し、総ライン長の大幅短縮に成功している。
ハードな使用に耐えられる生地として、上面前にPorcher Sport 9092 E85Aと上面後方にDOKDO 30 DMF WRを採用。リーディングエッジはポリマーロッドで補強されている。このフレキシブルロッドは他メーカーのものと違って柔軟で、グライダーをザックに入れる際に折れないよう気を使う必要がない。
また、軽量なカーボン製スプレットバーが標準装備。3か所あるライザーフックポイントと2か所のパッセンジャーフックポイントが設置されていて、パッセンジャーの体重に合わせベストなバランスを作り出すことができる。

フライトインプレッション

タンデムのテイクオフといえば、その大きな翼面積からくる重さがパイロットに負担を強いるが、バイオンのライズアップは驚くほど軽い! 頭上安定時のブレーク操作は最小限でできた。
ブレークラインアタッチメントはテープで取り付けてあり、トレーディングエッジを絞り込むように引き込まれる。ロールとヨウがちょうどよいバランスで組み合わされ、思った通りのバンク維持、効率の良い旋回が可能だ。
トリム全開での安定感は申し分なく、速度増加は+10〜12?/h。フルスピード時においても翼は安定しており、リーディングエッジには強いテンションが保たれている。この安定性は、ノバのラインナップ機すべてに標準装備となった、インテーク下部にあるベクトルバントの効果だろう。
バイオンは、長時間のビックイヤーを楽に保持するための「A3ラインストッパー」により、引き込んだA3ラインをロックできるようになっている。ロック後は浅いブレーク操作も可能で、そのままアプローチも可能だ。
タンデムで最もパイロットが緊張する場面はやはりランディングだが、どの速度域からでも効果的なフレアー操作が可能。タンデム機特有のフレアー技術は必要なく、無風でもゆっくりとブレークコードを引き下げることでソフトランディングとなる。

サマリー

タンデム機とは思えない軽快なハンドリング、そして簡単なテイクオフとランディング、それでいて圧倒的な空中での安定感は、ノバの最新技術を集約した結果だろう。バイオンは、タンデム現場の要望を最大限取り入れた実用的なタンデムグライダーといえる。プロパイロットだけでなく、家族や仲間とフライトするレクリエーションパイロットにも絶対お勧めだ。。

(REPORT: Ayumu MIYATA)

SPEC INFORMATION

サイズ 33 37
セル数 43 43
翼面積(投影)㎡ 32.40 36.44
翼幅(実測)m 43 44
翼面積(投影)㎡ 10.67 11.32
翼幅(実測)m 14.18 15.05
アスペクト比(投影) 3.52 3.52
アスペクト比(実測) 5.14 5.14
機体重量 kg 7.8 8.5
飛行重量 kg 90-200 115-230
安全規格(LTF/EN) 1-2/B 1-2/B
価格(税込) ¥535,000 ¥535,000

[製造元]NOVA/オーストリア
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2011年12月号掲載)