ギア・インプレッション

KLMBER 2P

NIVIUK

KLMBER 2P

Born for Hike & Fly race

エックスアルプス2021に向け開発された
クライマー Pの第2世代は
軽さとパフォーマンスのバランスを追求。
2ライナー化により高い競争力を身につけて登場した!

ハイク&フライレースのために生まれた翼

 エックスアルプス2021のために作られた翼「クライマー2P」。ハイク&フライレース用の競技機として手に入れ、春に数回、夏に少々飛んでいた。翼の印象が薄れていたので、秋のサーマルで再び飛んでみた。2ライナーのフライト経験はあまり多くないが、そんな目線で今回のインプレッションをお届けする。さらにハイク&フライレースに必要な要素が満たされているのかも合わせてレポートしたい。
 最近のニビューク。一言でいうと、どのクラスのグライダーも完成度が高く、パイロットのニーズに合ったグライダー作りができていると思う。ここ数年は特にそれを強く感じている。2021年4月号で最新タンデム機「タコー5」のインプレッションをお届けしたが、プロタンデムパイロットのニーズが満たされていた。例えば、1日に何本も飛ぶ場合、準備はストレスなく簡単に行いたい。そのためアッパーラインには、色分けされた被覆のあるラインを採用している。ちょっとしたことだが、かゆい所に手が届く使い手のニーズに応えた作りとなっている。
 グライダーはデザイナーやテストパイロットの理想によって作られているが、実際にそれを使うパイロットの気持ちが反映されているかということは非常に重要なポイントになる。クライマー2Pもそんな作りになっているのだろうか? さぁインプレッションをスタートしよう!

最軽量EN-Dクラス機

 まずはサイズ。3サイズを揃え、60〜105kgまでをカバーしている。今回はサイズ20(スターティングウエイト60〜78kg)に上限77kg(ハーネスはコルテルデザインのコリブリ)でフライトした。60kgから乗れるというのも軽量パイロットには魅力だ。次に重さ。サイズ20は2.67kgで、Dクラスのエックスアルプス専用機の中では最軽量。このクラスで3kgを切るのは、特筆すべきポイントだ。
 翼を広げてみると、この翼のために開発された細いニチノールがリーディングエッジを形作っている。キャノピー上面はスカイテックス27g、下面にはドクト25g。ライザーは使い勝手の良いテープタイプで、ラインは太さと素材を各所最適化したものを使用している。
 早速、立ち上げてみる。無風で平坦なテイクオフを、Aライザーを持ってゆっくりと走り出すと、すぐに空気を取り入れ手ごたえを感じる。そのまま走り続け空気が充填されると、あとはオートマチックに立ち上がってくる。アスペクト比6.95のグライダーであることは忘れてしまうほどだ。風が強いコンディションでも試してみたが、オーバーシュートする傾向はなく、頭上安定も簡単だ。どのような風でも容易に立ち上がってくれるということは、ハイク&フライレースに重要な要素の1つと言える。

まさにクライマー!

 まずは真っすぐ飛んでみる。当然だが、3ライナーにないグライド感覚だ。速度が速いというよりは、「良く飛ぶ」といった表現が適している。滑空比の維持には、リアライザーコントロール用グリップが便利だ。アクセル使用時にも適度にテンションをかけておけば、安心してフライトできる。アクセルは重くもなく軽くもなく、長時間踏んでいても疲れない。ハイクアップ後、ふくらはぎがパンパンになった状態でのアクセルワークでも苦にならない重さだ。この辺の使い勝手も、実際に使う状況がよく考慮されていると感じた。
 真っすぐ飛んでいると、翼が気流の変化を気づかせてくれる。サーマルのサーチ能力も長けている。近くにサーマルがあると感知し、サーマルに乗り上げるように翼が向かっていく。ピッチ安定も良く、この辺りはニビュークの言う「新しいプロファイル」が功を奏しているようだ。
 サーチ能力を活かしてサーマルソアリング開始。秋らしく小さくまとまりきらないサーマルも、グライダーの動きを感じながら動かしてあげると、サーマルを外すことなく留まることができる。徐々にサーマルがまとまりだすと、グライダーは滑るようにサーマルに入っていく。そして上昇帯に乗り上げるように高度を上げていく感覚は、非常に心地よい。
 ブレークコードを取り付けているプーリーは、ブレーク操作を工夫するには十分な長さがある。ちょっと内側に引いてあげるとちょうどよくヨーが効くので、引く方向によってグライダーを思うように動かすことができる。

有効なB3降下

 ひとしきり高度を上げてから、降下手段を試してみる。マニュアルには有効な降下手段としてビッグイヤー、B3、スパイラルと記載があるが、よく読むとビッグイヤーには随分と注意書きがあり、あまりお勧めしていないようだ。そこでニビュークお勧めのB3を試して見る。Bライン外側のラインを、ビッグイヤーの要領で引き込む。翼端が後退するように折れ、降下が始まった。翼端を減速させ翼を飛ばなくさせるので、マニュアルでも推奨しているようにアクセレーターを併用するのが良い。
 このB3、2ライナーのグライダーでは効果的な降下手段であるものの、その保持に力を要し実用的ではないグライダーもある。クライマー2Pはあまり力を必要としないので、女性にもおススメな降下手段と言える。スパイラルはもっとも有効な降下手段だが、やはりアスペクト比が高いグライダーで行うと強めのGを感じる。まずはスパイラルを必要とするような状況にならないことが大切だろう。
 パッキングのしやすさもハイク&フライには重要な要素だ。ライディングをしてキャノピーを絞ると、その時点でニチノールの入ったエアインテークがきれいに揃ってくれる。後縁を少し整えれば、あとはロールアップして完了。後縁にもニチノールが部分的に入っているが、折り畳みに気を遣うほどではない。
 付属のインナーバッグは圧縮しやすい構造で、ちょうど良い大きさに収納できる。ザックは購入時に選択できるが、ハイク&フライ用には合わせて開発したExpe Race(50L/60L)がおススメだ。

(REPORT:Naohisa OKADA)

SPEC INFORMATION

サイズ 20 21 23
セル数 64 64 64
翼面積(投影)㎡ 17.3 18.3 19.6
翼面積(展開)㎡ 20.3 21.5 23
スパン(投影)m
スパン(展開)m 11.88 12.22 12.64
アスペクト比(投影) 5.35 5.35 5.35
アスペクト比(展開) 6.95 6.95 6.95
機体重量 kg 2.67 2.78 2.9
飛行重量 kg 60-78 75-93 88-105
安全規格(EN/LTF) D D D
価格(税別) ¥693,000 ¥693,000 ¥693,000

[製造元]NIVIUK/スペイン
[輸入・販売元](有)エアハートコーポレーション
[URL]https://www.airheart.jp

2022年2月号掲載)