ギア・インプレッション

ICEPEAK EVOX

NIVIUK

ICEPEAK EVOX

ニビューク魂の結晶

蓄積してきた経験をベースに高性能と扱いやすさを両立
ニビュークR&Dチームが求めるCCCの形がここにある。

帰ってきたアイスピーク!

 ニビュークのコンペティションモデルと言えばアイスピークシリーズだが、2016年のアイスピーク8以来、3年の月日を経てICEPEAK EVOX(アイスピークエボックス)がリリースされた。このというネーミングは「情熱」「経験」「達成」を表しており、長年の経験を持つR&Dチームのテクノロジーを全て注ぎ込んで作り上げた自信作だ。
 サイズは20㎡から27㎡の全6サイズで、80kgから134kgまでの重量をカバーする。20から24は2㎡刻みなのに対し、25からは1㎡刻みになっている。さらに飛行最適重量が記載され、サイズ22の場合で97-100kgとベストレンジを決める際の良い参考になる。
 セル数は99でアイスピーク8と同じ、展開アスペクトも7.6と同値になっている。投影値については公表されていないのでわからないが、エボックスは8よりもややアーチが強い印象で、5.98よりも小さいのかもしれない。2ライナーでライザーはA2本、A'1本、B3本のライン構成、Bライザーにはライザーコントロール用のバーが装着されている。ニビュークのお家芸となったチタン技術(ニチノール)をはじめ、3DL、3DP、DRS、RAM、SLE、STE といった最新技術を詰め込んだ最高のコンペティションモデルであることには間違いない。

安定した挙動はCCCを忘れるほど

 サイズは22(90-105kg、最適重量97-100kg)に装備重量103kg(ほぼ上限)でフライトした。グライダーを広げると、さすがに平面アスペクト7.6はインパクトがある。傾かないように慎重にセッティングしライズアップを試みると、意外にも翼中央から翼端に至るまで、一体感のある動きと比較的軽いテンションで頭上まで上がってきた。ライズアップ特性はアスペクトを考えればイージーな部類だろう。走り過ぎないように軽く抑えて頭上で一旦翼を止め、再度荷重をかけて走りこめば強烈な揚力で直ぐに飛び立った。  ハイアスペクト機にありがちな翼端側が前後にシェイクするような挙動はない。真っすぐに飛ぶだけならCCCに乗っている感覚はなく、大袈裟だがCクラスのアーティック5にでも乗っているかのような安定感がある。

わずかな空気の流れを捉えサーマルにヒット

 トランジットではアクセルをハーフまで踏んで移動。アクセルを踏んでいる時も安定感があり、またBライザーに取り付けられたライザーコントロール用のバーを持って操作することで、非常に少ない力と少ない操作でグライダーをコントロールできる。アクセル使用時の速度と沈下も、踏み始めからプーリーがぶつかってロックするまで一定の変化で、どこか途中から急激に沈下が増えるようなことはない。
 アイスピークエボックスのブレークは、少し手ごたえのある操作感。操作量に対する反応が良いので、少ない操作で済むので疲労感は感じないだろう。

競技に集中できる頼もしい相棒

 ニビュークのR&Dチームがエボックスに求めたのは、高速時の直感的で効果的な操作、広い速度レンジでの安定性、そして操るパイロットに特別な要求をしないということ。つまり戦闘力があり高性能な翼でありながら、パイロットが自分の意識を競技に集中することができる。正に今回クロカンタスクをフライトして、私自身が実体験したことだった。開発チームの目標は間違いなく達成されていると断言しよう。

(REPORT: Koichi Fujino)

SPEC INFORMATION

サイズ 202224252627
セル数 999999999999
翼面積(投影)㎡ 17.0418.7420.0221.322.5823.43
翼面積(展開)㎡ 202223.52526.527.5
総ライン長 m 193203210217224228
最大コード m 2.012.112.182.252.322.36
アスペクト比(投影)
アスペクト比(展開) 7.67.67.67.67.67.6
飛行総重量 kg 80-95 90-105 80-95 100-110 113-128 125-134
飛行最適重量 kg 88 97-100 106-108 114-116 123-125 132
機体重量 kg 5.45.8 6.16.46.76.9
安全規格 CCCCCCCCCCCCCCCCCC
価格(税別) ¥620,000 ¥620,000 ¥620,000 ¥620,000 ¥620,000 ¥620,000

[製造元]NIVIUK/スペイン
[輸入・販売元](有)エアハートコーポレーション
[URL]http://www.airheart.jp/

2019年8月号掲載)