ギア・インプレッション

ARTIK3

NIVIUK

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EN-Cクラスにここまでやるとは…!

NIVIUK社の新しいEN-CグライダーARTIK 3がやって来た。ARTIKシリーズは、ハンドリング感性の良さと、クライミングの良さ、そしてバランスの良さで人気のを誇ってきた。さて、3代目ARTIK 3の仕上がりはどうだろう?

進化したSLE STEシステム

アーティック3には、、前縁はもちろん後縁にもしっかりとプラスチックスティックが入っている。いざフライトしてみると、これが見事に効いているのがよくわかる。きれいに上がってくるライズアップ、前モデルよりもニュートラルスピードが上がっているのに、それを感じさせないマイルドな挙動、やさしくサーマルを教えてくれるフィードバック特性、サーマルへのスムーズなエントリー、マイルドで分かりやすいハンドリング特性…。この乗り心地は、自然と飛ぶ空域が広がり、足を伸ばしてしまう。
アーティック3のイノベーションは、後縁のプラスチックスティックSTE(Structured Trailing Edge)が大幅に伸びたことにある。翼上面の前後半分から後縁まで伸び、後縁でUターンして下面に同じ長さで入っている。EN-Cクラスにここまでやってくるとは! デザイナーのオリビエ・ネフ氏はアーティック3の仕上がりについて「パフォーマンスは上がっているけれど、マイルドなんだよね」と語っていた。

マイルドってこのこと!

微風だったがこれといったクセもなく、スムーズにライズアップ。ハンドリングはしっかりとしていながら、しかし決して重いという感じはない。後縁のSTEの部分にスムーズにエアが流れ、最小のブレーク操作でハンドリングの効果がでているのではないかと思われる。これは、空気力学的に非常に効率が良い。
サーマルにヒット! と分かるくらいに、アーティック3のフィードバック感性が教えてくれる。この感性が、グイグイくるのではなく、マイルドなのだ。キャノピー自体がサーマルに入りたがっているのが感じられ、それに合わせるように旋回に入った。この時のサーマルへのエントリーが、またスムーズなのだ。小さめのサーマルだったもののコアの形も分かりやすく、修正のタイミングで引けば上昇していく。これがネフ氏が言っていたマイルドということなのだろうか。

アクセルは軽快

移動をするためにアクセルを踏んでみた。まずはハーフまで。軽く踏み込むことができ、加速感も良い。沈下は少なくしかも安心感がある。さらにフルまで踏み込むとより一層のスピードが得られる。挙動は実に安定していて、翼の剛性感を感じることができた。  さて、アクセルをハーフまで戻し、グライディングを楽しむとしようか。アーティック3のポテンシャルは、 ソアリングを楽しむばかりではなく、グライディングにある。こればかりは言葉をいくら尽くしても、真の意味を理解していいただくのは難しい。ぜひとも自分で体験してもらいたい。アーティック3は、まさにクロスカントリー機である。
パフォーマンスは向上し、それでいて敏感にならずにマイルドに仕上げることができたことは、EN-Cクラスの新しい基準になるだろう。

(REPORT: Atsushi UENO)

SPEC INFORMATION

サイズ 21 23 25 27 29
セル数 62 62 62 62 62
翼面積(投影)㎡ 17.82 19.51 20.78 22.48 24.6
翼面積(実測)㎡ 21 23 24.5 26.5 29
翼幅(投影)m 8.76 9.17 9.46 9.84 10.29
翼幅(実測)m 11.13 11.65 12.02 12.5 13.08
アスペクト比(投影) 4.3 4.3 4.3 4.3 4.3
アスペクト比(実測) 5.9 5.9 5.9 5.9 5.9
総ライン長 m 243 254 263 274 287
飛行重量 kg 50-70 60-80 75-95 90-110 105-130
機体重量 kg 5.2 5.4 5.7 5.9 6.3
安全規格(LTF/EN) C CCCC
価格(税込) ¥504,000 ¥504,000¥504,000¥504,000¥504,000

[製造元]NIVIUK/スペイン
[輸入・販売元](有)エアハートコーポレーション
[URL]http://www.airheart.jp/

(2012年2月号掲載)