ギア・インプレッション

ZULU

GIN GLIDERS

ZULU

優しい安定感で、
幅広いユーザーを満足させるグライダー

過去20年間、画期的なアイデアをパラグライダー作りに取り入れてきたデザイナー、ジン・セク・ソンとロバート・グラハム。この2人が更なる進化を求めて完成させた合作がズールーだ。

美しいプランフォームと、安全でよく飛ぶプロファイル

グラハムがデザインした新しいプランフォームは、滑らかに後退しているリーディングエッジと、直線的なトレーリングエッジが大きなスタビライザーにカットされているのが特徴だ。この斬新で美しい平面形に、ジンが長年使用してきた実績のある安全でよく飛ぶプロファイルが組み込まれ、さまざまなパフォーマンスがプラスされた。飛行中の安定性が素晴らしく、安全性能と滑空性能の両立が実現したのである。

新たな工夫「キールシステム」

ズールーは翼中央部にキールが搭載されているのが特徴だ。キールとは、キャノピー全体に程よいピッチスタビリティーを持たせるシステムで、その構造は翼を左右に分けるセンタープロファイルのキャンバーをフラットにし、プロファイル下面にボリュームを持たせた形になっている。
ズールーでサーマルソアリングを行うと、キャノピーが気流の変化をサーチしサーマルに入り込んでいく感じがする。これが、キール搭載の最大の効果といえるだろう。
また、翼を見上げるとキールから左右にラインが分かれているのが見て取れる。このセンターラインは飛行中パイロットの傾きを抑制する効果がある。体重移動をしてみると必要以上に体重がかからなくなっているのを感じる。
また、翼が潰れた場合にもセンターラインがパイロットの傾きを抑制してくれる。その結果、翼のローテーションアングルは小さく納まり、また、パイロットのシッティングポジションが極端に変化しないことから、安定した回復動作が望める。

より厳格化したDHVをクリアする「優しい」性能

最近のDHV1-2のテストは、今までになく厳しいテストとなっている。例えば、サイドコラップスの後のシューティングアングルは45度以下、それも翼の75%〜80%をフルスピードの状況で潰してからの回復特性をテストする。
ズールーのサイドコラップス後の特性は大変パイロットにとって優しいリアクションを示した。サイドコラップス後のローテーションがゆっくりスタートするので、あせることなく軽いカウンターブレークをかけつつ、直線飛行を心がけることで問題なくこのトラブルは切り抜けられる。その他のマヌーバーも大変穏やかな特性を持っているので、緊急時にもあせらずゆっくり対応することができるだろう。
キールシステムなどの工夫が生み出す性能の向上に加え、安全対策についても惜しみない努力が注がれているズールー。このクラスをこれから…という初心者から乗り換えユーザーまで、幅広くお勧めできるグライダーだ。

(REPORT/KAORU OHGISAWA)

SPEC INFORMATION

サイズ XS S M L
セル数 50 50 50 50
翼面積(投影)㎡ 20.93 22.30 24.20 26.17
翼面積(実測)㎡ 24.1 25.7 27.90 30.18
翼幅(投影)m 8.97 9.25 9.64 10.03
翼幅(実測)m 11.06 11.42 11.90 12.37
アスペクト比(投影) 3.84 3.84 3.84 3.84
アスペクト比(実測) 5.07 5.07 5.07 5.07
機体重量 kg 5.7 6.1 6.5 6.9
飛行重量 kg 55-75 70-90 85-105 100-125
速度(MIN/MAX/TRIM)km/h
沈下率
L/D
安全規格(DHV/DULV) 1-2/― 1-2/― 1-2/申請中 1-2/申請中
価格(税込) ¥451,500 ¥451,500 ¥451,500 ¥451,500

[製造元]GIN GLIDERS/韓国
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2005年10月号掲載)