GIN GLIDERS

SPRINT EVO

誰もが翼のポテンシャルを引き出すことを
容易にした抜群の操作性
これこそパイロットの欲求を満たす翼か

EN-BクラスにSPRINT、SPRINT X-alpsのラインナップを持つGIN GLIDERS社はこの春、ハイエンドのSPRINT EVOを投入した。ハイパフォーマンスを意識してデザインされたSPRINT EVOの乗り味は如何に？テストは3月末、まだテイクオフに雪が残る岡山の大佐山で行なった。

スプリントとの外見上の違い

●リジフォイルと軽量なリブ構造
プロファイル外周に合わせ、その形状を保つために挿入ポケットが縫いこまれ、柔らかいはずのリジフォイル素材に張りを持たせてある。
また、リブ構造は2枚のメインプロファイルの間に2枚のインターナルリブがフルダイアゴナルリブで保たれるGINオリジナルの工法で構成。インターナルリブにはポルシェスポーツの27g／?が用いられ、スプリントより機体重量は2割以上軽量化されている。
●ライン
メインラインにはリロス社製の細くて強度のあるPPSLダイニマーライン、アッパーラインにはケブラー素材で伸縮の少ないエーデルリッツ社製コンペティションラインを使用。これにより、スプリントのラインナップの中で最小のライン形状抗力を達成。
●ハーフリブとギャザリングシステム
トレーリングエッジに施されたハーフリブは、ブーメラン8の開発段階での飛躍的なパフォーマンスの向上により、スプリントエボにも採用。ブレークコードの取り付け個所にはギャザリングシステム（ブーメラン8で採用済み）が用いられ、トレーリングエッジを綺麗に引き込むことに役立っているようだ。
●テーパーコントロール
この工法は、ブーメランGTOから用いられており、大切なリーディングエッジのカーブを正常に保つリーディングエッジの切り替えし縫製で、メーカーの情報によると、浮きの良さが飛躍的に向上する効果を示すという。

大佐での試乗

●上昇率
スプリントエボMサイズを100kgの装備重量でテイクオフ。ゆっくりではあるが上昇が続き、テイクオフレベルを超えたところからは、1800mのクラウドベースまでは良好に上がるサーマルだったので、上昇率の比較には適していた。
●ハンドリング
軽いタッチで引いたときの反応が良いため操作しやすい。強い上昇を感じた時は微妙な操縦でバンクを自在にコントロールすることができ、上昇の弱いところは思い切ったブレーク操作でダイナミックにバンクをかけ切り抜けることで最適なバンクコントロールを行いやすい。
●直線飛行
1800mのクラウドベースに達した後、ヘッドウインドをついて大佐山上空へ滑空してみたが、一緒に飛んでいたEN─Dのグライダーを比較してもペネトレーションの良さと、リアルなコンディションでの滑空比の良さを感じ取ることができた。
●降下手段
ビッグイヤーは翼端折ライザーを引き込むことで、十分な大きさで翼が暴れることなく行えた。さらにアクセレーションをフルに踏み込むことでマイナス5ｍ／sに近い降下率が得られた。ビッグイヤーはホールドしやすく、リカバリーはライザーを放すと自動的に戻ってくれるので、降下手段としては最適なものと言えよう。

サマリー

スプリントエボはライズアップからサーマルソアリング、いざというときの降下手段からランディングアプローチまですべての操作がストレスなく行える。しかも翼のポテンシャルを引き出すことは容易で、パイロットの欲求をすべて満たしてくれる翼が完成されたような気がしてならない。

（REPORT: Kaoru OGISAWA）