GIN GLIDERS

SPRINT

Everything New!
遂に完成したGINのハイエンド1-2機

妥協を許さないGINのスタイルから生まれたスプリント。最高のパフォーマンスと安心の乗り心地を、LTF1-2/EN-Bのカテゴリーに組み込むことに成功した画期的な翼だ。ハイキャンバープロファイルと新しいコンピュータプログラムの開発に取り組み始めて4年、遂にその結果として生まれたスプリント。GINが求めていたものは何だったのか？

ピッチングとアクセレーション

まず、グラウンドでライズアップを試みる。リーディングエッジの形状が保たれているためか、空気の取り込みはきわめてスムーズに完了する。キャノピーの中に空気がすでに入った状態が保たれていることで、ライザーを強く引いてもリーディングエッジの変形はなく、ライズアップ時のインフレーションは至って容易だ。
フライトしてみると、翼が常時頭上に安定しようとしているのがよくわかる。多少の乱気流帯をアクセルバーを踏んだままで通過してみても、Aラインのテンションが抜ける傾向は少なく安心してスピードバーを踏み続けることができる。これは、新開発されたプロファイルに起因するのだろう。
また、スプリントはすばらしいペネトレーションを持っている翼である。無風時でのトリム速度はごく一般的だが（36km/h程度）、気流の変化で翼の清流効果が損なわれることなく、安定した清流をもたらしているためだろうか、特にヘッドウインドでの飛行時には巡航速度が実際より高く感じることができる。

サーマルサーチとセンタリング

上昇気流に遭遇すると、翼がサーマルをサーチしてくれる感覚が新鮮だ。ハイキャンバープロファイルに取り組んだ結果として、4年間求め続けてきた性能がここにあるようだ。旋回への入り（ロールイン）は滑らかで素早く加速し、ロールアウト時にもバンクを自在に操れる。スプリントのセンタリング性能は極めて良い。
この翼は、ウエイトレンジの下限から上限までどのレンジでもポーラーカーブに沿った飛行特性を損なうことはない。初心者ならウエイトレンジの下限で選んでもらいたい。穏やかな飛行特性と幅の広い操作域、安定した挙動と程良いペネトレーションで大変扱いやすく感じるはずだ。逆に上級者は上限たっぷりで飛んでみてもらいたい。

GINの求めていたものとは？

スプリントはグライダーの性能向上過程でありがちな、操作性や安定性が損なわれて行く傾向にGINが直球勝負で立ち向かった結果として生まれてきたグライダーである。飛ぶことが大好きなGINが心のそこから求めてきたパラグライダー。それは、安全、快適に飛行楽しむためのツールとして必要不可欠だったのだろう。
数年前、GIN本人が久々にハンググライダーを購入し、そのパフォーマンスの高さと操作性の良さ、安全性が両立されていることに驚き、パラグライダーも同様にならなければならないと言っていたことを思い出す。
パラグライダー創生期、キャノピーに初めてインフレータブルのスタビライザーを付けたのも、ケブラーラインを使用したのも実はGIN SEOK　SONGである。そのアイデアマンが4年の歳月をかけて取り組んだ新しいスプリントからは、パラグライダーの飛躍的な進化を感じ取ることができる。是非一度試してみてもらいたい。

（REPORT: Kaoru OGISAWA）