ギア・インプレッション

GANGSTER

GIN GLIDERS

GANGSTER

コンセプトは
フリースタイル・デザイン

ギャングスターの特徴は、バランスの良い設計理念が生み出したハイパフォーマンスと、自由な飛びを思いのままに出来るハイレベルな旋回性能にある。この翼によるフライトは、果たしてどんな楽しみを与えてくれるのだろうか。

アスペクトレシオ5.0のこだわり

デザイナー・ジンの理論上のこだわりは、数年来「アスペクトレシオ5.0」にあった。この数値はNASAの研究員でラムエアーの発案者・ロイハガーとの長いディスカッションの末に導き出された、パラグライダーにとってベストなアスペクトレシオなのである。
パラグライダーで空を自由にストレスなく楽しみたい我々にとって大切な要素は、必要十分な滑空性能、自分の手足のように動いてくれる旋回性能、そして安心感を与えてくれるマヌーバー性能だ。ジンの設計理念で最も大切な部分は、この3要素のバランスを保つところにある。この時、アスペクトレシオが大きすぎても小さすぎても3要素のバランスを保つことは難しくなってしまう。
アスペクトレシオ5.0を保ち、フリースタイルをイメージして設計されたギャングスターはジンの理想の翼に近く、今まで以上に自由な感覚を味わえるパラグライダーとして完成した。

素晴らしい旋回性能

ギャングスターの最大の特徴は、素晴らしい旋回性にある。ジンが提唱する素晴らしい旋回性とは、思ったようなバンクを掛けれるかどうかで決まる。
旋回とはバンクを掛けて行なうもの。「バンクを掛ける=スピードの増加」「旋回中スピードの増加=Gの増加」であるから、ハンググライダーのようなGの効いたシャープな旋回でサーマルを捕らえ、ワインディングアップしていくのが本当の旋回なのである。ギャングスターでは、ピッチ、ロール、ローがバランスよく、意図的な不安定に保たれているので、パイロットの思った通りのバンク角でGの効いた旋回が可能となった。

アクティブな操縦を可能にするマヌーバー性能

ギャングスターではアスペクトレシオを5.0に抑えることで、DHVのフライトテストを考慮しつつも、ピッチ安定性を程よく不安定にすることが可能となった。このことでグライダーはサーマルソアリング中の気流の変化に適度に反応し、ピッチアップする代わりにグライダーがサーマルに食い込んでいく特性と、旋回中にノーズアップしてしまう代わりにノーズがほんの少しずつダウンしていく特性を得ることができた。この特性をジンはマヌーバー性能と呼んでいる。
マヌーバー特性というと、どうしてもDHVで行われる安全性テストが眼に浮かぶが、ギャングスターの持つマヌーバー性能とは「MANEUVER:巧みに操る、動かす」つまりグライダーが気流の変化に小気味良く反応してくれるのを、アクティブに操れることを意味している。

フリースタイルデザイン

ギャングスターは過剰なGを要求するアクロバティックパイロットのニーズに答え、12Gの引っ張りテストに合格している。破損しにくく長持ちするLIROS製ラインの使用、アタッチメントポイントへの補強マイラーの装着、プロファイルの変形防止テープの縫込み等、フリースタイル用のデザインがなされているのだ。
ギャングスターの理想的な旋回性能は不可能と思われていたタンブリング4回転を可能にしてしまった。アクロバティックの可能性はギャングスターによって、より高度な領域まで達しようとしている。

(REPORT/Kaoru OGISAWA)

SPEC INFORMATION

サイズ XS S M L
セル数 19×3 19×3 19×3 19×3
翼面積(投影)㎡ 21.59 22.52 24.44 26.43
翼面積(実測)㎡ 23.85 24.88 27.00 29.28
翼幅(投影)m 9.53 9.55 9.95 10.34
翼幅(実測)m
アスペクト比(投影) 4.05 4.05 4.05 4.05
アスペクト比(実測)
機体重量 kg 5.9 6.3 6.8 7.2
飛行重量 kg 65~80 78~92 87~105 100~120
速度(MIN/MAX/TRIM)km/h
沈下率
L/D
安全規格(DHV/AFNOR) 2/STD 2/STD 2/STD 2/STD
価格(税込) ¥440,000 ¥440,000 ¥440,000 ¥440,000

[製造元]GIN GLIDERS/韓国
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2003年7月号掲載)