FLOW

XC RACER

鮮烈なデビューを飾ったあの翼が
遂に日本上陸！

2018シーズンのワールドアップを始めとする世界のコンペティションシーンに彩りを与えているXCレーサーは、EN-DクラスながらCIVL-CCCクラスと競り合い、世界各地で好成績をみせ世界中を驚かせている。

新星登場！

南半球・オーストラリアに生まれた新しいパラグライダーブランド『フロー（Flow）』は、自身もXC&コンペパイロットであるデザイナーのフィリップ・レゼンデがワールドカップなどで精力的にフライトを行いながら、シドニー近郊のフライトエリアで主な開発を行っている。
2018年、XCレーサー（EN‐D）に続き、エース（EN‐A）、コスモス（EN‐B）、パノラマ（ENB・タンデム）と立て続けにEN認証を取得、ミニウイングのヨティ2を加えてラインナップを着々と整えている。現在、EN‐Cクラスの純粋なXCウイングを開発中だ。完成すれば短期間でフルラインアップが整うことになり、世界のパラグライダーマーケットに新たな驚きを投げかけるだろう。

構造

82セル／アスペクトレシオ6.95と現在のEN-Dクラス中、最も多いセルと最も高いアスペクト比を持ち、直線的なリーディングエッジが特徴の2ライナーモデルだ。シャークノーズにより翼剛性とライズアップ性能を高め、リーディングエッジからトレーリングエッジまで翼全体がナイロンスティックで補強されている。
キャノピーにはドミニコとポルシェを組み合わせ、サスペンションラインはエーデルリッド、ライザーはガス&ウォルス、プーリーにはロンスタンというように実績あるものを選択している。キャノピーの生地の配置や縫製はしっかりとし、ラインも他のCCCクラスと比べ太めで、耐久性を高めつつ性能の劣化が抑えられているようで、XCパイロットにとって信頼して長い期間、使い込んでいける。メーカーも250時間のフライトに耐えられるとしている。

フライト

・テイクオフ
　ライザーは12mmゼロストレッチ・ポリエステルテープでシンプルに造られている。Aラインが接続されているラピットリング付近を握るとライズアップが行いやすい。ブレークコードでの修正・操作は必要だが、2ライナーモデルとしては簡単になっている。
・ピッチ＆ロール安定
　トリム速度は39km/h以上の設定。ピッチ方向・ロール方向ともに安定感は良好で不安な部分はなく、フルアクセルまで安定感は損なわれることがない。アクセル操作幅は15.5cmで、フルアクセルでの最高速度は60km/hに迫る。XCレーサーの直線的なリーディングエッジは、アクセルを踏み込み迎え角を大きく変化させていっても、どの速度でも翼表面の空気の流れをなめらかに保ち、無駄な歪みを起こさない効果がある。
・ハンドリング
　ブレークコードによる操作にXCレーサーは機敏に反応してくれる。センタリングを実に小さな旋回半径で行うことができ、6.95というハイアスペクトであることを忘れさせるほどだ。スパイラルへの移行もストレスを全く感じることなく、−8m/s以上の大きな降下速度をすぐに得ることができる。緊急降下手段としてビッグイヤーも−3〜4m/sの降下速度を得ることができ、実用レベルとなっている。またフルストールからのリカバリーや、片翼50%以上潰しながらの直線フライトも基本的な操作で行うことができる。
・翼面荷重
　ハイパフォーマンス機であるため、翼面荷重が大きいほどスピードが高く、調子よさを感じることができる。だが、競技での戦闘能力を考えるとテイクオフウエイト上限から3〜4kgを差し引いた付近がお勧めのレンジだ。また下限については、翼面荷重4kg/㎡を超える程度は必要だろう。

総合性能・ターゲット

XCレーサーは、ダイレクトな操作感とすべての速度での安定性を武器に、高いポテンシャルをもっている。XCフライトと競技をともに楽しみたいパイロットだけでなく、日常的なフライトの中でトップクラスのパフォーマンスを楽しみたいパイロットにとっても、耐久性を備えた格別な選択となるだろう。

（REPORT：Satoshi MEGURO）