APCO

VISTA 4 / VISTA 4 LITE

APCOのニュージェネレーションを
意欲的に表現する新世代ウイング

高い耐久性を持つスタンダードモデルと性能と軽快さを追求したライトモデル。 2つの個性を持ったビスタ4が幅広い層のパイロットの要求に応える。

斬新なアイデアを投入し利便性を向上

ビスタ4はプラットフォームを進化させ、EN-B認証のリアル3ライナー、ハードなコンディションの中でも流麗なシェイプを維持し、非常に優れたスタビリティーとパフォーマンスを発揮するシャークノーズウイングに進化した。新生アプコを象徴する軽量モデルもラインナップ。ビスタ4はスタンダードモデルとライトモデルのバージョンを選べるのも注目のポイントだ。
リアル3ライナーであるにもかかわらず、ほぼすべての飛行認証試験のテストをAカテゴリーの認定を受けている。翼は非常に剛性が高く、ラフエアーの中でもソリッドな安定感を持っている。ピッチの動揺も素早く、スムーズにフラットにならしてくれるピッチダンピング特性が高く、パイロットに信じられないほどの安心感と安定感を与えてくれる。
グライダーを広げるとフリクソンバテンにより、リーディングエッジがしっかりと張り、バテンのテンションでインテークを大きく開いた状態を維持している。
新採用12mmウェビングの細いライザーは、硬めで捩れが少ないので取り回しは容易だ。ライザー本数が増えてしまう原因になるスプリットライザーは廃止、ステンレスリングとラインでシンプル化した上に色分けして識別性を高めている。これはライザー部分の空気抵抗削減にも貢献している。

フライトインプレッション

スタンダードのビスタ4 XSサイズ（55〜80kg）にテイクオフウェイト70kgの中間レンジで試乗した。ライズアップは左右のAライザーを引くだけで素直に立ち上がる。インテークの開口を大きくとっているビスタ 4では、シャークノーズにありがちなインフレーションの遅れや、途中から翼が走り出して加速するような特性は一切感じない。
ライズアップから頭上ホールドにかけてのブレークコードの反応も穏やかだ。ブレークコードのテンションは非常にリニアーで、最初のコンタクトが非常に軽く、反応も驚くほど穏やかだ。コースの微調整や気流に対するパイロットの細かく素早い動きも、キャノピーが穏やかにならしてくれるので、ピッチングやローリングの動揺が起こりにくい。引き始めからバンクのかかる旋回までのストロークは長めで、ストロークに応じて徐々にバンクと重さが比例していき、どこで止めても素直にその状態を保つ。
強めのサーマルのセンタリングでもタイトな旋回を維持しやすく、外翼のコントロールを放棄した状態でも、無駄な振れやヨーイングが起こらない。
滑空性能とスピードはトリムフライトでは普通のEN-Bらしい、いたって普通の性能である。しかし頭上安定が良いのでサーマルコンディションでのリッジソアリングでは、気がつくと上のほうに上がっているような「浮きのよさ」を感じる。アクセルフライトでは3ライナーらしくスムーズな迎え角変化で、速度と滑空性能が上がってゆく。

ビスタ4のターゲット

ビスタ4は高い性能を誇りながらも、EN-Bローエンドクラス並みの安全性と安定性を発揮するチューニングになっている。翼からのフィードバックも「明確でありながら穏やか」という優れた特性で、トレーニングパイロットにも自信をもたらしてくれる翼に仕上がっている。
ライトモデルはライズアップやテイクオフの浮き上がりの早さが顕著で、助走距離が少なかったり、風の弱いテイクオフ・コンディションではこちらの方がお勧め。スタンダードモデルは耐久性の高いセールクロスの影響でキャノピー重量が約1kg違うが、インテークのはらみの良いキャノピーバランスとライズアップの素直さにより重さを感じさせない。担ぎ上げのないエリアで、フライト本数をこなすパイロット、グラハンやテイクオフ練習を地上でしっかりと行う練習生、或いは頻繁に買い替えることができないので性能を維持したまま長く乗り続けたいパイロットにはスタンダードモデルがお勧めだ。
ステップアップの練習生から、ハードなコンディションのエリアでも安心感を持ってクロスカントリー的な広範囲フライトを楽しみたいパイロットまで、2つのビスタ4はワイドレンジに対応してくれる優しい翼に仕上がっている。

（REPORT：Tsutomu KAGAYAMA）