ギア・インプレッション

PLAY FOR TWO

APCO

PLAY FOR TWO

進化したタンデムグライダーで
パッセンジャーと楽しい一時を!

フライトが楽しいこと―アプコ社の求める目標は明快だ。軽快なハンドリング、先進のデザイン、マテリアル、そして耐久性を持ち、全てを高次元で融合させたタンデム機、プレイ・フォー2は、フライト時に余計な緊張感・不安感を強いられることなく、より多くの楽しさと喜びを与えてくれる。

構造とマテリアル

プレイ・フォー2のキャノピーにはV(ダイアゴナル)リブと横方向のテープが取り付けられ、これらの採用とラインフォームの変更により総ライン長(496m)はフィエスタタンデム(570m)より短くなっている。ライン直径は全体的に太くなっており、お馴染みのゲルベノール、シリコンダブルコーティングクロス。アプコのグライダーの特徴である耐久性の良さは、プレイフォー2でも健在だ。
また、ケアラで成功したHITシステムが通常のインテーク上部のリーディングエッジ部分に合計で8カ所取り付けられている。これによってトリマーを使った高速グライディング時や乱流等によるピッチング時、キャノピーの内圧を確保し潰れを誘発しにくくしている。
ライズアップは前から2本目の中央2本のボトムラインで構成されているA2ライザーで行う。A2ライザーは黄色で色分けされたスプリットAライザー(A1ライザー)の前方から握るように注意が必要である。ライザーはこれらを含む5本で、「A」「B」と書かれたテープが縫い込まれている。ライザーにはこの他にスピード(ピッチ)コントロール用のトリマーとBストール用のハンドルが取り付けられている。

安心・快適フライト

ライザーは40cmと短いにもかかわらず、無風時のライズアップは驚くほどスムーズで傾きにくく、まるでシングル機のライズアップのようだ。頭の真上近くで止まる感じだが、キャノピーに合わせてブレーク操作をし、そのまま走り出すとパイロットに追従して、加速しながらのテイクオフが可能である。
ライザーが短いのでボトムラインにも簡単に手が届く。ビッグイヤーは一番前にある黄色で色分けされたスプリットAライザーを引き込むだけで良い。簡単な操作で長時間の翼端折りも楽に行える。
プレイフォー2のトリム速度は思っていたより速く、アプコ社発表の38km/hは余裕でクリアーするだろう。グライダーの浮きも大変よく、スポーツグライダーとして十分な滑空性能が備わっている。また、荒れたコンディションの中でも、HITシステムのおかげでかなり安心してトリマーを解放することができる。スピードも十分で、搭載重量も140〜240kgと幅広く、いろんなパッセンジャーに対応できるのが嬉しい。これならモーターフライトにも十分に対応できる。
ではハンドリングはどうであろう。プレイフォー2のロールコントロールは驚くほどシャープで、これまでのタンデムパラグライダーのイメージを一掃するものになっている。絶えず変化するサーマル内でのセンタリングでも、旋回半径を微妙に変えながらのコントロールが容易にできる。
パイロットが操縦した分だけ滑らかに反応してくれることは当たり前のことではあるが、プレイフォー2の進化したコントロール性はタンデムフライトへの好奇心を沸き立たせてくれる。

(REPORT:YUGO ARAI)

SPEC INFORMATION

サイズ 42
セル数 46
翼面積(投影)㎡ 32.47
翼面積(実測)㎡ 37.92
翼幅(投影)m 10.85
翼幅(実測)m 13.63
アスペクト比(投影) 3.63
アスペクト比(実測) 4.9
機体重量 kg 8.7
飛行重量 kg 115-195
速度(MIN/MAX/TRIM)km/h 24/45/39
沈下率 1.1
L/D 7.9
安全規格(DHV/AFNOR) 1-2/―
価格(税込) ¥577,500

[製造元]APCO Aviation/イスラエル
[輸入・販売元](株)ラ・ムエッティ
[URL]http://www.sky-sports.net/

(2004年5月号掲載)