APCO

HYBRID

革新的なセーフティーグライダー
ハイブリッド登場！

「パラグライダー」がさらに簡単で安全なスポーツへと進化した
軽い操作性なのに非常に安定したバンクが得られ
サーマルソアリングでの安心感は抜群
外乱に対する頭上安定性は従来のトレーニング機よりはるかに優秀だ。

パラグライダーの新しいデザインスタイル

　アプコ・アビエーションから発表された「ハイブリッド」は、従来のダブルサーフェイス翼（ラムエアーセール）とシングルスキン翼を融合させた革新的なデザインの翼だ。この新しいシステムは単なる翼の軽量化にとどまらず、初心者にも優しい驚くほど容易な取り扱いと優れた頭上安定性、飛行中の安全性を高める画期的で驚異的な機能を発揮する。
　アプコは長期間、様々なプロファイルとプロト機を試作し、ついにハイブリッドを完成させた。飛行特性はほとんどのカテゴリーでEN-A認証を獲得、通常の飛行特性ではEN-Aグライダーといえる安定性と完璧なセーフティーチューニングに仕上がっている（※1）。

パラモータートレーニング機としても有効な
ピッチ／

　翼自体が軽くライズアップを完了したキャノピーはブレークの量に関わらず揚力を生むポジションを維持してくれる。荷重を増減させた場合でも、前後に大きく揺れることなくパイロットに対するポジションを維持し続ける。これは揚力中心の位置が強い揚力を生みながら安定していて、絶えず真上へとパイロットを引き上げようとしているようなフィーリングだ。飛行中のピッチングも、減速と加速を繰り返して大きな揺れを作り出しても、無操作に戻すだけでシューティングが抑えられて即座に安定滑空に戻ってしまう。
　さらに従来の翼では考えられないほどのロール安定性を発揮している。ブレーク操作に応じた非常にスムーズでダイレクトなロール特性を持っているのだが、穏やかな操作や急激な操作などに対して、遠心力に対応してキャノピーがあるべき処にピタッと自動的に安定する。翼後縁部分のシングルスキンに配置されたリブ構造が、飛行機の垂直尾翼のように方向安定性を生み出し、翼面の気流が横滑りするのを防止していることに起因するのだろう。フリーフライトだけでなくパラモーターでも反転トルクによるロールを起こしにくく、アプコでもパラモータートレーニング機として絶賛している。

離陸操作・着陸操作

　翼内部の容積が小さいので、リーディングエッジに空気が流入するだけでインフレーションが完了し、助走は殆ど不要と感じるほど軽くスムーズなライズアップを示す。下面も湾曲した高揚力な翼断面から非常に強い揚力を生み出している。そのため低速で離陸速度に到達し、短距離で離陸を完了させることが可能なのだ。
　また後縁のリブ構造によって方向安定性も高いため、左右のインフレーションに多少の差異が発生してもキャノピーが横流れしにくく、安全な離陸へと修正操作しやすいという利点もある。これは現在ある全ての初級機よりも優れた離陸特性だ。短距離離着陸性能は航空機でも非常に重要な指標で、動力飛行を行うパラモーター的には安全のために最も重要な性能のひとつと言える。
　着陸は普通のEN-Aクラスとほぼ同様の安定した特性を持っている。ピッチを安定させて緩やかにブレークコードを引いていった場合の減速効率は非常に良好で、着陸速度としてはかなり低速まで安定滑空を行い、フルブレークも長いストロークで安定している。安定滑空からのブレークでフレアーストップを行う場合も、シングルスキンの後縁部分でしっかりと減速できるので、ダブルサーフェイス機のように速度が速すぎてピッチアップすることがない。驚くほど扱いやすい着陸操作だ。

驚きの安定性を示す軽く楽しく安全なソアリンググライダー

　軽量・コンパクトなグライダーパッケージから、ハイク＆フライやアドベンチャーフライトの相棒というイメージを持たれやすいが、ハイブリッドはハイテク技術を結集して完成されたハイレベルなセーフティーグライダーだ。
　高齢化に向かいつつある現在のパラグライダー界にとって、体力・判断力・反応力の低下による不安やリスクを補って余りある「乗るだけで安心と安定をもたらしてくれる」というパッシブセーフティーというメリットを心行くまで楽しめる軽快な翼だ。

※1：MAX荷重＆フルアクセル時の75%サイドコラップスとフルコラップスの2つがB認証となっているが、オープンまでの時間に起因するものでシューティングやインパクトオープンを起こすことなく穏やかなリカバリー特性を示している

REPORT：Tsutomu KAGAYAMA