APCO

FORCE

幅広いスピードレンジと
軽快なハンドリング性を持ちつつ、
絶対潰れないモーター専用機が登場！

個性的で優秀な製品を作り続けているアプコ社は、イスラエルに広大な工場を構え、60ヶ国に3万機以上を販売している。同社が自信を持って贈る新世代リフレックスウイング、パラモーター専用機「フォース」にSasukeが試乗した。

機体構造（デザイン／マテリアル／ライザー）

フォースはEN-Cの機体だ。翼平面形は翼端前縁が後退し、シャープなトレーリングエッジを持つTNT（層流）翼。投影アスペクト比は約4.5と少しスリム。エアインテークは大きからず小さからずの全スパン開放タイプ。ウイングチップの数セルのみがクローズしている。
セールクロスは上下面ともにリップストップ42g／?というアプコ標準のダブルシリコンコート軽量素材。滑らかな肌触りだが、今流行りの軽薄素材に比べれば、しっかりした質感がある。多くのスクール・インストラクターが口を揃えて「アプコグライダーは長持ちするよ」と言うのも納得。
ライザーは一見、オーソドックスなA＋A'＋B＋C＋D（A'は翼端用）の5本。しかし、よく見るとAライザーとC･Dライザーがカラビナ上でバイパスして繋がっている。これがフォース最大の特徴、SRS（ストール・リカバリー・システム）だ。
通常時はＡライザーは中立の状態。不意のブローや乱気流により、Aライザーからのテンションが急激に高まると、C・Dライザーが自動的に抑えられ、翼のカブリを防ぐことができる。
さらにBライザー横にブレークトグルよりも小さなトグル「チップステアリングトグル」が設置されており、これを操作することにより、沈下の少ない効率的なターンが可能になるという。

ライズアップ＆クルージング

リーディングエッジに縫い込まれたFLEXORという樹脂製バテンのお陰で、最初からエアインテークが立ち上がっている。順風に正対させると細めのインテークラインがキレイに形成。エンジンユニットを背負い、トリマーを3cmほどリリースした位置で、バックでライズアップ。非常に軽く、全面積に等荷重が掛かるのでストレス無くまっすぐ上がり頭上で静止する。楽々テイクオフできた。
まずは海岸線を水平飛行。GPS読みで平均40km／hとかなり速い。スロットルを開きパワーを掛けると、普通ならピッチアップする所をそのまま加速して突き進んで行く。これは明らかにSRSシステムの効果だ。キャノピー剛性があり、ブレークコードには適度のプレッシャー。ちょっとラフに操作してもピッチ変化は少なく、非常に安定している。

ターン＆ランディング

最近のサーマルソアリング用キャノピーとは違い、ブレークコードの操作に対して挙動はあまり敏感ではない。そこでBライザーに付属しているチップコントロールトグルに持ち替えてみた。このトグルはブレークラインの一番翼端側に繋がっており、高速フライト時に効果的だという。おもむろに右トグルを引くと大きくバンクが掛かり、クイッと旋回。次は左、またクイッ。実に軽快に曲がって楽しい。慣れると空中での操作はチップコントロールだけで十分かもしれない。スロットルをうまく合わせれば、地上のスラローム競技でも威力を発揮できるだろう。
ランディング時は速いトリムスピードの割に、どこまでも粘る低速性能と、それに応じた沈下率も実に扱いやすい。
フォースは離着陸が容易で、スピードレンジがとても広く、さまざまなパイロットの要求にも答えてくれる。荒れた空域でもビクともしない安定性はビギナーの2機目として、ベテランのアクティブフライトや競技用としても満足できる機体だ。

（REPORT：Daisuke SAGAWA）