ギア・インプレッション

RISE3

AIRDESIGN

RISE3

ライズ3がエアデザイン社の
進むべき方向を示す

優れた性能、安定性、優れたサーマルのクライミング高いトップエンドスピード、快適な飛行特性耐久性のある素材の採用と内部構造の最適化により軽量化を達成。
ライズ2の発展型ではなく、ライズ3は全く新しいデザインのハイエンドBクラスグライダーだ。

Cクラスに迫るアスペクト比を採用

前作ライズ2まではノーマルバージョンと軽量バージョンがあったが、ライズ3では単一モデルのみのリリースとなる。これは生地の耐久性が良くなったことに加え、マーケットの軽量グライダー需要が多いことが伺える。軽量にすることでハイクアップに有利ということもあるが、シューティングなどの挙動も穏やかになるといった利点が多い。
 ライズ3のアスペクト比は投影4.55、展開5.95と、このクラスとしては高めの設定でEN-Cクラスに近いアスペクト比を持っている。アスペクト比が高くなると立ち上げの際の翼変形や、つぶれた際にクラバットに入りやすくなるなど、より難しい挙動に入りやすくなる。またサーマルソアリングの際、アスペクトが高くなるほどスパン方向の不安定が顕著になり機敏なコントロールが要求される。操縦性に優れたグライダーを実現してきたエアデザイン社が、高めのアスペクト比でどのような操縦性を実現したのかが興味深いところだ。それではライズ3を見ていこう。

特筆すべきサーマルでの上昇率

 Sサイズに装備重量83?程度、72〜92?の適正重量の真ん中程度で試乗した。条件は南東の風20km程度と強めのリッジコンディション。山全体がリッジ上昇風になり、サーマルも混じっているものの、山全体をゲイン100m程度で移動できる。ライズアップは、平均的なスピードで立ち上がってくる。シャークノーズのグライダーにありがちな、始めゆっくりで後から急に速くなるといった傾向はあまりみられない。アスペクト比があるにも関わらず、扱いやすいライズアップ特性だ。
旋回特性は非常にスムーズで特にデリケートな操作も必要なく、適度なバンクでスムーズな旋回に入っていく。低速域では失速前の粘りが良くなった感じを持った。トリムスピードは35km程度、アクセルは50%以上踏んでも沈下が大きくならず、高効率な高速性に驚かされた。
最も驚いたのは、サーマルでの上昇率の良さだ。サーマルに当たった瞬間、跳ね上げられるような上昇を感じた。多少急に跳ね上げられることがあるので対処に迷うことがあったが、無理に旋回する必要はなく安定した上昇の時に旋回すればよいだろう。

安心感をもたらすトリムスピード

アスペクト比が高いにも関わらず、安心してフライトできる。トリムスピードがゆっくりで加速し過ぎないことが、この安心感に大きく関与していると考えられる。ライズ3は迎え角が上がっているような感触もありつつ、ネガティブな失速特性やターンに入りづらいという欠点はほとんど感じられない。絶妙なバランスの良さが際立っている。
EN-Bハイエンドグライダーとしての性能、乱気流での安心感、ストレスのないハンドリングなど、ライズ3は完成度の高いEN-Bグライダーといえる。パイロットになってステップアップしたい方や、これまでの高性能機をもてあまし気味な方にお勧めしたいグライダーだ。特にEN-Cクラスなど、多少リスクのあるグライダーに乗っていたパイロットで、滑空性能を極端に下げたくないパイロットにお勧めしたい。違和感はなく乗れるトータルバランスの良いグライダーに仕上がっている。

(REPORT:IWAMURA MAKOTO)

SPEC INFORMATION

サイズ XXSXSSM29
セル数 4949494949
翼面積(投影)㎡ 15.9118.1020.2120.2123.82
翼面積(実測)㎡ 18.7721.3423.8325.9128.09
スパン(投影)m 8.519.079.5910.0010.41
スパン(実測)m 10.5711.2711.9111.9112.93
アスペクト比(投影) 4.554.554.554.554.55
アスペクト比(実測) 5.955.955.955.955.95
機体重量 kg 3.073.493.904.244.60
飛行重量 kg 50-65-75※60-7872-9285-105100-125
安全規格(LTF/EN) BBBBB
価格(税別) ¥500,000¥500,000¥500,000¥500,000¥500,000

※50-65は通常使用。65-75は高加重使用

[製造元]AIRDESIGN/オーストリア
[輸入・販売元]エア・カッシー
[URL]http://www.airkassy.com/

2017年10月号掲載)