ギア・インプレッション

BLACK BIRD3/BLACK BIRD SPORT

AEROTACT

BLACK BIRD3/BLACK BIRD SPORT

日本人パイロットのための
「戦うハーネス」!

2006年春にリリースされた、ブラックバード3とブラックバードスポーツ。日本人の体型に合わせて設計されているため、これまでにないホールド感を感じることができ、同時に、快適なウエイトシフトを可能にするさまざまなポジショニングを提供してくれる。

ホールド感抜群のバケットシート

ハーネスのメインベルトを含め、サイドのベルトをすべて覆いこんだサイドパネルがこのハーネスの特徴だ。バケットシートはパイロットの体をやわらかく包み込む効果があり、パイロットの荷重の半分以上をハーネス全体に程よく分配している。
カラビナフックポイントの下に装着されている扇形のプレートは、ハーネスの前後のひずみを制御し、抜群のピッチスタビリティーを示す。
またこのプレートは、ハーネスの左右の動きをやわらかく制御する効果も持ち合わせているため、パイロットは滑らかに体重移動を行なうことができる。
また、実際の飛行テストにおいては、直線飛行中に強いサーマルにヒットした時に、前後の安定性を強く感じ取ることができた。足を伸ばしている姿勢にもかかわらず、前後に揺れることなく乱気流を通過することが可能で、さらにはアクセレーターを踏んでいる時も姿勢を確実に保ってくれた。
体重移動が滑らかに行なえるのは、このプレートを含めバケット型のハーネスが形状を保つ働きをしてくれるからだろう。ガクンと体重が入りすぎることがなく、滑らかに必要なだけ荷重を入れることができた。
加えて、バケット型のシートはハーネスの捩れを抑制する効果を示し、パイロットのヨー方向の動きを制御してくれる。実際飛んでみて強く印象に残ったのは、今までのポットハーネスではフライト中に足の部分が常時左右に揺れていることが当たり前であったのが、ブラックバードではまったくヨーイングを感じることがなかったことだった。ピッチ、ロール、ヨー方向の安定は、片翼が潰れてパイロットが片吊りになった場合であっても、バケットシートが体を全体的にホールドしてくれるため、正しい操縦を妨げられることが一切ない。失速のテストでもパイロット前後に余計に動くことはなく、回復操作を間違うこともなかった。
体を伸ばして飛行するスタイルでも、バケットシートの安定感でパイロットはヨーイングを起こしにくく、大きな問題であるライザーのツイストが生じる危険性を発生を軽減している。片翼を潰すテストを行なっても、ライザーがツイストする傾向は最小限のものだった。

細部までの工夫

ブラックバードスポーツでは、ドイツのメーカー・Finsterwalder社の最新型バックル(写真7)が使用され、さらに軽量化が図られています。乾燥重量45g。もちろん強度はまったく問題ない。
なお、ブラックバード3は、パラグライダーの飛行特性を上げるために飛行方向への投影面積が最小になるように設計されている。ポット型ハーネスにおいて大きな面積を占める上半身の抵抗を極わずかにすることで、パラグライダーが本来持っている滑空性能を、最大限まで引き出すことができるのだ。

(REPORT:KAORU OHGISAWA)

SPEC INFORMATION

●ブラックバード3
サイズ:S、M、L
価格:\144,900

●ブラックバードスポーツ
サイズ:S、M、L
\102,900

[製造元]AEROTACT/日本
[輸入・販売元](有)アエロタクト
[URL]http://www.aerotact.co.jp/

(2006年6月号掲載)