ADVANCE

SIGMA10

6.16のアスペクトに66セルEN/LTF Cクラス
伝説のシリーズに10世代目が登場

1989年のデビュー以来パイロットを魅了し続け、根強いファンが多く、パラグライダー史で最も永い歴史を持つシグマシリーズ。
28年の歳月を経て10世代目となるシグマ10が完成した。シグマ9からは全く新しいプラットフォームで成り立ちパフォーマンスの大きな飛躍に成功した。

スポーティーで軽快、最小の操作で正確に反応

上空には寒気が残り雲量多めだが、気温減率は良さそうな八郷盆地。全体的に弱めの風でシグマ10のロールアウトには最適と思えるコンディションに気分が弾む。今回は23サイズの推奨重量ど真ん中である80kgにてインプレッションを行った。ライズアップはスッとキャノピーが立ち上がり、しっかり翼の形状を保っている。アドバンス製品どのモデルにも言えることだが、とにかくライズアップが軽い。そしてしっかりと翼が形成されて、ガチっと安定する。
リーディングエッジ部は3Dダイアモンドシェイピングという新しいテクノロジーを搭載。インテーク上面部分の曲面をジグザグに縫製することで、前後左右の張りが均等で滑らかな表面になり、パフォーマンス向上に貢献している。テイクオフすぐ脇から立ち昇るサーマルを引っ掛けてファーストターンを入れる。ハンドリングはしっかりとした手応えで、引いたら引いた分だけ曲がるスポーティーな仕上がり。ターンの切れは踏襲され、ハンドリングはダイレクトで軽快そのものだ。

最先端のテクノロジーでパフォーマンスの大きな飛躍

コンバージェンスラインを探り、良い上昇帯に翼を乗せながらアクセルを一段踏んでみる。踏み応えは割と軽めで、スムーズに加速していく。さらに2段目を踏み抜いてみると、更に加速が増すが沈下率が変化することはない。スピードだけが上がっていくも翼は安定している。新採用のキャノピー中央付近にあるCワイヤーとトレーリングエッジにあるミニリブの効果なのだろう。
シグマ10は新たにリアライザーにCハンドルが付けられている。ブレークトグルを持ったまま、中指と人差し指をCハンドルにかけてみる。翼からの情報がCハンドルを通して伝わってくる。フルスピード時にも微妙なコントロールができるのが嬉しい。シグマ史上一番の6.16のアスペクトでありながら、ピッチとロールが安定している。Aライザーはスプリットしていて、外翼につながるラインが赤くなっている。ラピッドリング付近に指を引っ掛けて翼端折りをしてみると、カンタンに翼端折りをすることができた。翼の回復もブレーク操作で簡単に戻すことができた。

乱流の中でも抜群の方向安定性

アクセルを使用してサーマルに飛び込んでみる。フルスピードからの速度をそのままサーマル内で旋回し上昇に転じる。ラフなコンディションでも翼はカッチリと形状を維持し、パイロットの意思を忠実に受け止めてくれる。高度を下げるためにスパイラルに入れてみる。反動をつけずにゆっくりと深くブレークを引いていく。徐々に旋回半径が小さくなり、スパイラルへ入っていく。外翼のスピードコントロールをしながら、スパイラル時の挙動を見るも、翼剛性の高さを感じる。引き込んだブレークを戻せば、スピードも落ちて通常滑空に簡単に戻ることができた。

ロングフライトも疲れることなく飛行可能

翼が余計な動きをせず、翼の情報を最適化し必要な情報のみをパイロットに伝えてくれる。良好な滑空性能と、軽快なハンドリング、ピッチとロールの安定性。もちろん軽量でコンパクトに収納できる。クロスカントリーには絶対に必要条件を全て備えている伝説の翼、シグマ10。全てから解放されて、空を自由な空間に変えてくれる。

（REPORT：Masayuki MATSUBARA）