ギア・インプレッション

OMEGA XALPS2

ADVANCE

OMEGA XALPS2

Ready to Race!

気負うことなく沸き上がるモチベーション
卓越した安定性が積極的な操作へと導き
より遠くに飛んでいけるという確信に変わる
エックスアルプスという競技が生んだ機体の
当たり前で必然のパフォーマンスに誰もが驚くことだろう!

ハイエンドクロスカントリーウイング

オメガエックスアルプス2という名の翼。その響きは、言わずと知れたヨーロッパアルプス横断レースの為の乗り手を選ぶ究極のギアだ。その先入観は、初めて乗ったその日に簡単に消えた。以降、競技や普段のフライトを通し、その扱いやすさとパフォーマンスのバランスの良さを、日に増して実感している。
装備重量は88kg。80から95kgという推奨スターティング重量のほぼ真ん中で乗っている。この機体の魅力はなんといっても一体感だ。立ち上げも少しのテンションで癖なくスっとあがりとても簡単だ。キャノピー重量が軽いので、非常にリニアに翼の動静が体に感じられる。それはまるで腰から翼が生えている感覚だ。エックスアルプス2を腰で乗る感覚は、ライトネス2を使用しているから。フットバーに沿える足への加圧のサポートとで、キャノピーのロール・ピッチ・ヨー全ての動きを安定して面で、背中で感じることができる。
ブレークコード操作は、キャノピーが得る浮力の反力を最大限推進力と上昇力に変えることができる。しなやかかつ安定した剛性が感じられるキャノピーと、面として直接的に感じることのできる操作性が、ともすれば急操作の部類となるブレーク動作も、空域の状況によってはポジティブな動作として許容される。大雑把な操作をもキャノピーが最適化してくれるので、荒れた空域ほどエックスアルプス2の真価が発揮されると言っても良いだろう。

エックスアルプス1からの進化

セル数・アスペクト比を少し増やしたエックスアルプス2は、エックスアルプス1と比べていくつかの違いが感じられた。基本的には全面進化と言えるが、方向性の選択と言えそうな高いレベルでのわずかな優劣もある。まず、滑空の切れが少し良くなった。これを感じるのはサーマルの風下、正確には、風上に向かって45度から225度の半円部分でのターン。サーマル風下とキャノピー挙動の相性が良くないと、その半円部に入るときに切れが悪く、最風下部で旋回が流れてしまうか、詰まって沈む感じになってしまう。エックスアルプス2はこの感じが出にくい。
一方、究極操作での浮きを少し犠牲にした感覚を、希に受けることがある。滑空の切れを増す味付けとの方向性の選択の副次作用だと思う。ただしこれは、初級機がまれにコンペ機を凌ぐ浮きを発揮する場面があるというパラの普遍的現象に通じる。

サーマルへの指向力

サーマル間のトランジットで、何度も不思議な感覚を味わったことがある。まっすぐ飛ぼうとしても、ふと目標の飛行ラインからずれる。キャノピーはサーマルに吸い寄せられるとよく言われるが、キャノピー自身の重量が軽いからか、その傾向が強いのだろうか。かといって、キャノピー剛性不足で乱流に翻弄されるという感じもない。
昨今のハイエンド高アスペクト機が潜在的にもっている、ヨーの不安定さをほとんど感じない。それは面として、キャノピーの挙動を三次元で感じられるためなのかもしれない。ゆえにサーマル指向性に活かせているのだと思う。

ウェイトパフォーマンス

そんな単語は存在しないが、オメガエックスアルプス2は、"ウェイトパフォーマンス"が最高だ。ウェイトパフォーマンスが高いと、単純に楽しい。楽で愉しい。軽さは性能だ。
必要以上に気負うことがなく、モチベーションが上がる。積極操作側にコントロールの幅が広がり、飛びのバラエティが増える。性能がものを言い、飛び方の選択肢が限られるハイエンドな競技より、クロカンが向いている。エックスアルプスという競技から生まれたこの機体の、当たり前で必然の評価に、改めて安心感をもってたどり着いた。

(REPORT:Akira IZAWA)

SPEC INFORMATION

サイズ 22 23 24
セル数 69 69 69
翼面積(投影)㎡ 18.9 19.7 21.0
翼面積(実測)㎡ 22 23 24.55
翼幅(投影)m 9.94 10.16 10.5
翼幅(実測)m 12.45 12.73 13.15
アスペクト比(投影) 5.25 5.25 5.25
アスペクト比(実測) 7.057.05 7.05
飛行重量 kg 70-85 80-97 90-110
機体重量 kg 3.3 3.5 3.7
安全規格(EN/LTF) DD D
価格(税別) ¥690,000¥690,000 ¥690,000

[製造元]ADVANCE/スイス
[輸入・販売元]アドバンスジャパン(株)
[URL]http://www.advancejapan.co.jp/

2018年2月号掲載)