ギア・インプレッション

EPSILON8

ADVANCE

EPSILON8

True Friendship

常に時代のレクレーションクラスを牽引しているイプシロン。初号機のリリースから23年が経過して、ついに8代目となるモデルが完成した。洗練されたシェイプと、さらに進んだ軽量化。乗るたびに空の楽しさを与えてくれる翼である。

風と戯れ遊ぶ

春の足尾界隈は、天気図にほど良い南風のサインがでると、クロスカントリーの記録を狙う猛者たちが集まってくる。そんな日に撮影だけなんてもったいない、みんなとクロカンへ出かけることにしよう。
今回使用するサイズは25㎡で、自重4.45kgとクラス最軽量。アッパーとロアサーフェイスに強度の高いポルシェスポーツスカイテックス38ユニバーサルを使用。軽量でありながら丈夫で永く使えるよう設計されている。
サイズ25のスターティングウェイトは70〜90kgが推奨レンジとなっているが、プラス10〜15kgを拡張重量レンジとしている。よりダイナミックなフライトを好むパイロットは100kgほどに、ベストの上昇性能を求めるなら推奨レンジ内がオススメだ。今回はど真ん中の80kgでチェックしてみる。

自由自在のコントロール

強めのアゲンストでインテークに風を入れる。ふわりと立ち上がり翼が頭上に来たところで押さえると、ビシッと頭上安定している。さすが、とても扱いやすい。
加速してテイクオフ。グライドフィーリングはアルファ6とイオタのちょうど真ん中といった感じ。春の強めのサーマルに入り、旋回を開始してみる。ブレークプレッシャーはしっかりとした感触で、引きしろを忠実に旋回に変えていく。ハンドリングは驚くほどダイレクトで正確だ。
アクセルの1段目を踏み込んでみる。スルスルとスムーズな加速をするが、沈下率が増えることはない。2段目も踏み込んでみると、さらにスピードが上がる。沈下率はさすがにマイナス2m/sになったが、この加速ができるならクロカンには大きな武器になる。
サーマルトップが上がり始め、1600mで燕山を離脱。クロカンのスタートだ。南風に乗ってみんなでグライドし、サーマルポイントで上げなおす。みんなで行けばサーマルヒットの確率が上がるし、なによりクロカンの醍醐味をシェアできるのが楽しい。
南風の波を通り越さないように注意しながら北上。烏山付近ではサーマルトップも上がり1700mまで上昇。周りのグライダーはCクラス以上の最新鋭揃い。Bクラスは自分だけだが、クロカンならばグライドもスピードも遜色はない。何よりも強烈なサーマルに当たってもビクともしないため安心なのが嬉しい。
馬頭温泉を目前にして、次のサーマルに乗り切れず敢えなく那珂川の河原にランディング。高度処理をする時はかなり南風が強めでラフな感じだったが、そこはイプシロン。低速もよく効いて操作しやすかった。

空を飛ぶことの楽しさを教えてくれる

イプシロン8の完成度は高く、一番印象に残るのはピッチとロールのバランスの良さ。そして、アドバンスグライダーのすべてに言えることだが、そのバランスを忠実にコントロールできるハンドリングが素晴らしい。
空を飛ぶ感覚をもっとも気持ち良く体感できるイプシロン8。それはまるで自らの腕が翼になっているような感覚だ。この素晴らしい翼を、すべてのフライヤーに体感して欲しい。

(REPORT: Masayuki Matsubara)

SPEC INFORMATION

サイズ 23 25 27 29
セル数 45 45 45 45
翼面積(投影)㎡ 18.9 21.0 22.7 24.4
翼面積(実測)㎡ 22.5 25.0 27.0 29.0
翼幅(投影)m 8.25 8.70 9.05 9.35
翼幅(実測)m 10.75 11.35 11.80 12.25
アスペクト比(投影) 3.6 3.6 3.6 3.6
アスペクト比(実測) 5.15 5.15 5.15 5.15
アクセル引き代 cm 14.5 15.5 16.0 16.5
推奨飛行重量 kg 55-75 70-90 80-105 95-125
拡張飛行重量 kg 75-85 90-100 105-120 125-140
機体重量 kg 4.15 4.45 4.95 5.15
安全規格(EN/LTF) B+ B+ B+ B+
価格(税別) ¥520,000 ¥520,000 ¥520,000 ¥520,000

[製造元]ADVANCE/スイス
[輸入・販売元]アドバンスジャパン(株)
[URL]http://www.advancejapan.co.jp/

2016年6月号掲載)